三菱HCキャピタル
最終更新 2026年9月21日
年間配当は入金済み額ではなく、現在の株数と会社予想の配当から求めた相当額です。
どんな会社か
- 総合リース大手。総資産は13兆895億円、従業員は7,950人。20か国以上に拠点を持ちます。
- いまの形は2021年4月から。三菱UFJリースと日立キャピタルが経営統合し、商号を三菱HCキャピタルに変えました。銀行・商社系とメーカー系が一つになった会社です。
- 売上の8割が賃貸事業。2026年3月期は賃貸1兆8,078億円で、そのほかが貸付1,627億円・その他1,815億円・割賦販売633億円です。
- 海外が売上の46.8%。日本1兆1,780億円に対し、英国3,104億円・欧州中近東その他2,787億円・北米2,484億円・アジアオセアニア1,669億円を海外で売り上げます。

セグメントの区分をくわしく見る
会社はセグメント利益を、営業利益ではなく「親会社株主に帰属する当期純利益ベース」で開示しています。上の7つの合計1,580億円に、どのセグメントにも属さない全社分41億円を足したものが、連結の純利益1,622億円になります(億円未満を四捨五入しているため、上の7つを足した額とは1億円ずれます)。資産で見ると、13兆895億円のうち海外カスタマーが3兆4,957億円、カスタマーソリューションが3兆1,326億円、航空が2兆7,450億円です。2026年4月1日の組織改編にともない、2027年3月期からは「モビリティ」が「ロジスティクス」に統合され、報告セグメントは6つになります。2026年3月期には、海外カスタマーで補償損失引当金繰入額113億円を特別損失に計上しました。
出典:2026年3月期有価証券報告書(主要な経営指標等の推移・セグメント情報・関連情報)。
ディフェンシブか、景気敏感か

出典:2009年3月期有価証券報告書(当時の社名は三菱UFJリース。主要な経営指標等の推移・配当政策)。
強みと懸念点
- 27期続いた増配。貸した先が何千社もあり、契約が何年も続くので、1年で収入が消える形ではありません。リーマン・ショックで利益が4分の1以下に落ちた年も増配し、27期続けて配当を増やしてきました。
- 偏らない稼ぎ口。銀行・商社系とメーカー系のリース会社が統合してできた会社で、国内と海外のリースを土台に、航空機・海上コンテナ・不動産・再エネが乗ります。売上の半分近くは海外で、1つの事業や国に頼らない形です。
- 上げた配当の目安。2026年に、配当に回す割合の目標を40%以上から45%以上へ上げました。同じ利益でも配当を増やすという約束です。
- 厚くなった自己資本。自前のお金の割合は10年で上がり、会社は格付けの維持を財務目標に置いています。
- 今期は減益の計画。配当の目安を引き上げた直後に、減益の計画で始まりました。第1四半期は、前の年にあった一度きりの増益の反動と、不動産などの売却益の減少で、すでに大きな減益です。
- 利益の3分の1を稼ぐ航空。航空機リースは利益の3分の1を稼ぐ一方、前の期には大きな損失も出しました。旅客需要と中古機の値段で振れる事業です。
- 借入で回す商売。社債や借入で集めたお金で機械や航空機を買って貸す商売で、資産の大半は借金です。利息などの資金の費用は年に2,800億円を超え、金利が上がればこの負担が重くなります。
- 再エネの赤字。再生可能エネルギーの事業は、前の期に黒字から赤字に転落しました。資産の入れ替えを進めながら、増配を続けられるか。
資金原価と支払利息は年2,838億円です。自己資本は1兆9,891億円、総資産は13兆895億円です。
出典:2026年3月期有価証券報告書2026年3月期決算短信2027年3月期第1四半期決算短信2026〜2028年度中期経営計画(2028中計)について2009年3月期有価証券報告書。
いつも見ている8つの基準
配当はどう増えたか

配当性向の中期的な目標水準は、……中期経営計画(2028中計)の対象期間である2026年度(2027年3月期)からの3年間において45%以上としており、利益成長を通じて配当総額を高めてまいります。
2026年3月期有価証券報告書の配当政策です。同じ中期経営計画では、2029年3月期に純利益2,100億円・ROE10.0%・ROA1.7%を目標に置き、外部格付はA格の維持を掲げています。
配当・配当性向の10年表
| 3月期 | 1株配当(円) | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2017 | 13.00 | 21.8% |
| 2018 | 18.00 | 25.2% |
| 2019 | 23.50 | 30.4% |
| 2020 | 25.00 | 31.5% |
| 2021 | 25.50 | 41.1% |
| 2022 | 28.00 | 40.4% |
| 2023 | 33.00 | 40.8% |
| 2024 | 37.00 | 42.9% |
| 2025 | 40.00 | 42.5% |
| 2026 | 46.00 | 40.7% |
| 2027予想 | 51.00 | 45.8% |
2026年3月期の46円は、中間22円+期末24円です。期末配当は予想の23円から24円へ引き上げられました。2027年3月期の予想51円は、中間25円+期末26円です。この10年に記念配当・特別配当はありません(2026年3月期・2022年3月期・2021年3月期の有価証券報告書で確認)。2013年4月1日に1株を10株にする株式分割をしていますが、上の10年はすべて分割後の期です。
出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(配当政策・1株当たり配当額)2026年3月期決算短信期末配当予想の修正(増配)に関するお知らせ剰余金の配当に関するお知らせ2028中計について。
いまの利回りの位置

過去の期末利回りを数字で見る
| 3月期 | 3月末終値 | 期末利回り |
|---|---|---|
| 2017 | 555円 | 2.34% |
| 2018 | 624円 | 2.88% |
| 2019 | 564円 | 4.17% |
| 2020 | 532円 | 4.70% |
| 2021 | 668円 | 3.82% |
| 2022 | 570円 | 4.91% |
| 2023 | 684円 | 4.82% |
| 2024 | 1,070円 | 3.46% |
| 2025 | 1,007.5円 | 3.97% |
| 2026 | 1,401円 | 3.28% |
出典:各年の1株配当と、東京証券取引所の3月末終値。各年の配当を3月末終値で割り、丸める前の値で単純平均しました。現在の利回り・PER・PBRは、2026年9月18日終値1,384.5円、会社予想の配当51円・EPS111.57円、2026年3月末の1株当たり純資産1,385.22円から計算しています。
業績と財務





業績・財務の10年表
| 3月期 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) | 純利益(億円) | EPS(円) | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 8,389 | 791 | 532 | 59.77 | 8.4% | 12.2% |
| 2018 | 8,699 | 793 | 637 | 71.57 | 9.3% | 12.7% |
| 2019 | 8,642 | 804 | 688 | 77.28 | 9.4% | 13.0% |
| 2020 | 9,238 | 919 | 708 | 79.44 | 9.2% | 12.4% |
| 2021 | 9,477 | 623 | 553 | 62.07 | 7.0% | 13.4% |
| 2022 | 17,656 | 1141 | 994 | 69.24 | 8.0% | 12.7% |
| 2023 | 18,962 | 1387 | 1162 | 80.95 | 8.2% | 14.3% |
| 2024 | 19,506 | 1462 | 1238 | 86.30 | 7.7% | 15.1% |
| 2025 | 20,908 | 1871 | 1352 | 94.19 | 7.8% | 15.2% |
| 2026 | 22,154 | 2404 | 1622 | 112.98 | 8.6% | 15.2% |
営業CFと期末の現金(億円)
| 3月期 | 営業CF | 現金及び現金同等物 |
|---|---|---|
| 2017 | -2203 | 953 |
| 2018 | -508 | 1,601 |
| 2019 | -2394 | 1,865 |
| 2020 | -2522 | 4,556 |
| 2021 | 1993 | 2,862 |
| 2022 | 1958 | 5,201 |
| 2023 | 468 | 4,605 |
| 2024 | -491 | 3,353 |
| 2025 | -2969 | 2,908 |
| 2026 | -3675 | 3,460 |
長期数値の出典:各年の有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」および連結損益計算書。2021年3月期2022年3月期2026年3月期。2021年3月期は会計方針の変更が遡及適用されているため、2022年3月期の有価証券報告書に載っている遡及後の数値(売上高9,477億円・営業利益623億円・純利益553億円・EPS62円07銭)を使いました。
同じ仕事の会社と比べる
同じ総合リースの東京センチュリーとリコーリースを並べました。3社とも日本基準の連結で、決算期もそろっています。
| 2026年3月期 | 三菱HC 8593 | 東京センチュリー 8439 | リコーリース 8566 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆2,154億円 | 1兆4,577億円 | 3,386億円 |
| 営業利益率 | 10.9% | 10.2% | 6.1% |
| ROE | 8.6% | 10.4% | 5.4% |
| 自己資本比率 | 15.2% | 15.5% | 16.5% |
| 配当性向 | 40.7% | 35.1% | 44.5% |
| 営業CF | △3,675億円 | △769億円 | △517億円 |
| 予想利回り | 3.68% | 3.37% | 3.72% |

リコーリースの予想利回り3.72%は、2027年3月期の予想配当256円で計算した値です。このうち年70円は特別配当で、会社は2027年3月期から2032年3月期まで実施する予定としています。普通配当186円だけなら2.70%です。リコーリースの配当性向は1株配当÷1株利益で計算した値です。予想利回りは2026年9月18日終値1,384.5円・2,670.5円・6,890円と、今期予想配当51円・90円・256円で計算しました。
出典:三菱HCキャピタル 2026年3月期決算短信東京センチュリー 2026年3月期決算短信リコーリース 2026年3月期決算短信、東京証券取引所(2026年9月18日終値)。
直近の決算と注意点
2027年3月期第1四半期は、大きな減収減益でした。
会社は減益の理由を2つ挙げています。1つは、前の年の同じ時期に連結子会社の決算期をそろえたことで228億円の増益効果があり、それが剝落したこと。もう1つは、不動産セグメントなどで資産の売却益が減ったことです。
通期の会社予想(純利益1,600億円・1.4%減)と配当予想51円に修正はありません。純利益の進み具合は通期予想の19.8%です。会社は売上高と営業利益の通期予想を開示しておらず、純利益だけを示しています。
見るところは、この減益が第1四半期だけの反動で終わるかどうかです。通期予想が据え置かれている以上、残りの3四半期で戻す計画になっています。次の中間決算は11月中旬の予定で(2025年は11月14日)、そこが最初の答え合わせです。
出典:2027年3月期第1四半期決算短信2026年3月期決算短信。
決算とIRの記録
出典:2027年3月期第1四半期決算短信2026年3月期有価証券報告書剰余金の配当に関するお知らせ2026年3月期決算短信期末配当予想の修正(増配)に関するお知らせ2028中計について2022年3月期有価証券報告書。
営業CFと自己資本比率は、リース業では製造業の基準が当てはまらないため評価していません。理由は本文と同業比較に書いています。
2021年3月期の売上高・営業利益・純利益・EPSは、2022年3月期の有価証券報告書に載っている遡及適用後の数値です。
2013年4月1日に1株を10株にする株式分割をしていますが、このページで扱う10年はすべて分割後の期です。「ディフェンシブか、景気敏感か」に出てくる2009年3月期の42円・46円だけが分割前の実額です。
過去の利回りは、各年の配当と3月末終値から計算しました。金額と図の数字は読みやすさのため丸めています。