ジャックス
最終更新 2026年9月21日
年間配当は入金済み額ではなく、現在の株数と会社予想の配当から求めた相当額です。
どんな会社か
- 信販会社。自動車ローンや住宅リフォームの分割払い、クレジットカード、そして銀行が出すローンの保証を扱います。
- 1954年に函館で創業。百貨店の月賦販売を扱う「デパート信用販売」として始まり、1959年に北日本信用販売、1976年にジャックスへ社名を変えました。
- 保証の商売が大きい。提携金融機関の個人向けローンを肩代わりする役で、保証債務の残高は4兆8,722億円あります。
- 営業収益の45.2%がクレジット。ペイメントが23.0%、銀行ローンの保証を含むファイナンスが21.6%と続きます。

国内と海外のセグメントを見る
報告セグメントは「国内」と「海外」の2つです。2026年3月期は、国内が外部への営業収益1,704億円・営業利益228億88百万円。海外はベトナム・インドネシア・カンボジア・フィリピンの4か国で、営業収益218億97百万円に対しセグメント損失24億65百万円でした。前の期の36億30百万円の損失からは縮みましたが、赤字は続いています。会社はインドネシアの業績回復の遅れを、中期経営計画を見直した理由の1つに挙げています。
株主構成にも特徴があります。三菱UFJ銀行が40.18%を持ち、三菱UFJフィナンシャル・グループ全体では40.34%(2026年3月31日時点)。会社はこれを「その他の関係会社」として開示しています。2025年度から始まった中期3カ年経営計画「Do next!」も、同行との資本業務提携契約にもとづき「MUFGグループとの連携拡充」をテーマに置いています。
出典:2026年3月期有価証券報告書(主要な経営指標等の推移・沿革・セグメント情報・偶発債務・連結損益計算書)2026年3月期決算短信支配株主等に関する事項について。
ディフェンシブか、景気敏感か

出典:2009年3月期(第78期)有価証券報告書(主要な経営指標等の推移)。
強みと懸念点
- 明文化された200円の下限。利益の水準に関係なく、1株200円以上を配ると中期経営計画で決めています。業績計画を大きく下げたときも、この方針だけは変えませんでした。
- 積み上がる保証残高。銀行の個人向けローンを保証する仕事が伸びています。自分でお金を貸さずに保証料が入るので、資金をあまり使わない稼ぎ方です。
- 厚くなった自己資本。2025年に三菱UFJ銀行から出資を受け、自前のお金が大きく増えました。銀行グループとの連携を、中期計画の柱に置いています。
- 伸びている国内。住宅リフォームや産業用ソーラーのローン、銀行ローンの保証が伸び、国内の売上は増えています。
- 利益の9割を配る計画。200円を下限に置いているため、利益が落ちた年ほど配当の負担は重くなります。今期はまさにその形です。
- 自分で動かせない調達金利。市場や銀行から借りたお金で分割払いを立て替える商売です。金利が上がると借りる費用が先に増え、客からもらう手数料は後からしか上げられないため、その差が縮みます。今期の営業利益は半分近くに減る予想です。
- 中期経営計画の取り下げ。計画の2年目に利益目標を大きく下げ、最終年度の数字は取り下げました。理由は金利の負担、システムの費用、インドネシア事業の回復の遅れです。
- 増えた株数と大株主。増資で株数が増え、同じ利益をより多くの株で分けることになりました。4割を持つ三菱UFJ銀行の考えで、配当の決め方は変わっていくのか。
国内の取扱高は1年で2.2%増えました。金融費用は315億円で1年に26.0%増え、今期の営業利益は110億円(46.1%減)の予想です。
出典:2026年3月期有価証券報告書2026年3月期決算短信中期経営計画の見直しに関するお知らせ支配株主等に関する事項について。
いつも見ている8つの基準
配当はどう増えたか

DOE(株主資本配当率)3.0%、又は配当性向40%を目安にいずれか高い方とし、1株あたり200円以上の安定的な利益還元に努めてまいります。
2026年3月期決算短信に書かれた還元方針です。読みどころは「いずれか高い方」と、200円という下限の2つ。低いほうに合わせるのではなく、高いほうを取ると宣言しています。この方針は、2026年5月に中期経営計画の数字を下げたときも据え置かれました。

配当・配当性向の10年表
| 3月期 | 1株配当(円) | うち記念配当 | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2017 | 75 | — | 29.7% |
| 2018 | 80 | — | 35.2% |
| 2019 | 80 | — | 30.8% |
| 2020 | 95 | — | 30.5% |
| 2021 | 105 | — | 30.8% |
| 2022 | 160 | — | 30.2% |
| 2023 | 190 | — | 30.4% |
| 2024 | 220 | 10円 | 32.1% |
| 2025 | 190 | — | 35.4% |
| 2026 | 200 | — | 52.6% |
| 2027予想 | 200 | — | 89.5% |
2017年10月1日に5株を1株にする株式併合を行っているため、2017年3月期の15円と、2018年3月期の中間配当8円は5倍に換算しています(2018年3月期の実額48円=併合前の中間8円+併合後の期末40円→調整後80円)。2024年3月期の220円には創立70周年記念配当10円が含まれます。2026年3月期の200円は中間100円+期末100円、2027年3月期の予想200円も中間100円+期末100円です。
出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(1株当たり配当額・株式併合の注記)2026年3月期決算短信中期経営計画の見直しに関するお知らせ。
いまの利回りの位置

過去の期末利回りを数字で見る
| 3月期 | 3月末終値 | 期末利回り |
|---|---|---|
| 2017 | 2,420円 | 3.10% |
| 2018 | 2,334円 | 3.43% |
| 2019 | 1,782円 | 4.49% |
| 2020 | 1,834円 | 5.18% |
| 2021 | 2,269円 | 4.63% |
| 2022 | 3,080円 | 5.19% |
| 2023 | 4,390円 | 4.33% |
| 2024 | 5,580円 | 3.94% |
| 2025 | 3,905円 | 4.87% |
| 2026 | 4,005円 | 4.99% |
出典:各年の1株配当と、東京証券取引所の3月末終値。終値は株式併合の調整後でそろえ、各年の配当(記念配当を含む)を割って、丸める前の値で単純平均しました。現在の利回り・PER・PBRは、2026年9月18日終値3,675円、会社予想の配当200円・EPS223.42円、2026年3月末の1株当たり純資産6,625.00円から計算しています。
業績と財務





業績・財務の10年表
| 3月期 | 営業収益(億円) | 営業利益(億円) | 純利益(億円) | EPS(円) | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 1,197 | 118 | 87 | 252.95 | 6.4% | 4.7% |
| 2018 | 1,341 | 127 | 79 | 227.32 | 5.5% | 4.4% |
| 2019 | 1,458 | 144 | 90 | 260.13 | 6.0% | 4.0% |
| 2020 | 1,586 | 165 | 107 | 311.65 | 7.0% | 3.7% |
| 2021 | 1,607 | 163 | 118 | 340.69 | 7.2% | 3.8% |
| 2022 | 1,641 | 267 | 183 | 528.97 | 10.3% | 5.8% |
| 2023 | 1,735 | 317 | 217 | 624.60 | 11.1% | 5.7% |
| 2024 | 1,848 | 331 | 238 | 685.13 | 10.9% | 6.1% |
| 2025 | 1,910 | 257 | 186 | 536.11 | 7.8% | 6.5% |
| 2026 | 1,923 | 204 | 153 | 380.28 | 5.6% | 7.9% |
営業CFと期末の現金(億円)
| 3月期 | 営業CF | 現金及び現金同等物 |
|---|---|---|
| 2017 | -1527 | 495 |
| 2018 | -1678 | 814 |
| 2019 | -3099 | 911 |
| 2020 | -3085 | 974 |
| 2021 | -1411 | 1,122 |
| 2022 | -1520 | 1,386 |
| 2023 | -2140 | 1,622 |
| 2024 | -980 | 1,875 |
| 2025 | -452 | 1,745 |
| 2026 | 231 | 1,446 |
長期数値の出典:各年の有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」および連結損益計算書。2021年3月期2026年3月期。自己資本比率は、保証残高を貸借対照表に載せない会計処理への変更が2020年3月期と2023年3月期の2回あり、それぞれ遡って直されています。上の表は各期の有価証券報告書に載っている変更後の数値で、2021年3月期以前と2022年3月期以降は同じ土台ではありません。
同じ仕事の会社と比べる
同じ信販のクレディセゾンとオリエントコーポレーション(オリコ)を並べました。3社とも3月期決算ですが、クレディセゾンだけ会計のルールが違います。
| 2026年3月期 | ジャックス 8584 | クレディセゾン 8253 | オリコ 8585 |
|---|---|---|---|
| 会計基準 | 日本基準 | IFRS | 日本基準 |
| 営業収益 | 1,923億円 | 4,727億円 ※ | 2,476億円 |
| 営業利益率 | 10.6% | 21.6% ※ | 5.8% |
| ROE | 5.6% | 8.6% | 5.3% |
| 自己資本比率 | 7.9% | 15.4% | 8.8% |
| 配当性向 | 52.6% | 30.1% | 53.3% |
| 営業CF | +231億円 | △1,377億円 | +221億円 |
| 予想利回り | 5.44% | 3.45% | 4.68% |

※クレディセゾンは2019年3月期からIFRSを採用しています。表の「営業収益」は同社の純収益(収益から原価を引いたもの)、「営業利益率」は純収益事業利益率で、分母の取り方がほかの2社と違います。同社の自己資本比率は「親会社所有者帰属持分比率」、ROEは「親会社所有者帰属持分当期利益率」です。予想利回りは2026年9月18日終値3,675円・4,643円・855円と、今期予想配当200円・160円・40円で計算しました。
出典:ジャックス 2026年3月期決算短信クレディセゾン 2026年3月期決算短信オリエントコーポレーション 2026年3月期決算短信、東京証券取引所(2026年9月18日終値)。
直近の決算と注意点
2027年3月期第1四半期は増収でしたが、1株利益は26.8%減りました。
純利益が5.7%減に対して1株利益が26.8%減なのは、期中平均株式数が3,476万株から4,477万株へ28.8%増えたためです。増資は前の期の9月なので、前年同期にはまだ入っていません。
経常利益は上期計画60億円に対して60億66百万円で、第1四半期だけで上期の計画に届きました。通期予想(経常利益110億円・純利益100億円)と配当予想200円に修正はありません。通期予想に対する純利益の進み具合は41.6%です。
2026年9月11日には構造改革を開示しました。全国11か所の審査拠点を7か所に減らし、廃止する4拠点(札幌・名古屋・福岡・岡山)の従業員180名を対象に、異動・働き方の変更・会社都合退職のいずれかを選んでもらう形です。対象者全員が退職を選んだ場合、特別退職金は最大11億円。2027年3月期に特別損失の計上を見込むとしていますが、業績予想は現時点で据え置きです。
見るところは、金融費用の増え方が止まるかどうかです。次の中間決算は11月上旬の予定で(2025年は11月6日)、そこが最初の答え合わせになります。
出典:2027年3月期第1四半期決算短信2026年3月期決算短信構造改革(組織改編及び人員の合理化)に関するお知らせ。
決算とIRの記録
この銘柄については、2026年8月29日に株価で負けているが、配当がちょうど埋めているという記事も書いています。そちらには実際の受取額と、そのとき何を考えたかを書きました。
出典:Solvvy株式会社との資本業務提携に関するお知らせ構造改革(組織改編及び人員の合理化)に関するお知らせ2027年3月期第1四半期決算短信2026年3月期有価証券報告書2026年3月期決算短信中期経営計画の見直しに関するお知らせ特別損失の計上及び2026年3月期個別業績と前期実績値との差異に関するお知らせ。
営業CFと自己資本比率は、信販業では製造業の基準が当てはまらないため評価していません。理由は本文と同業比較に書いています。
2017年10月1日に5株を1株にする株式併合を行っています。1株あたりの金額(配当・EPS・株価)は、すべて併合後にそろえました。2009年3月期の4円だけが併合前の実額です。
自己資本比率は、保証残高を貸借対照表に載せない会計処理への変更が2020年3月期と2023年3月期の2回あり、変更のたびに総資産が大きく減っています。2021年3月期以前と2022年3月期以降は、同じ土台の比率ではありません。
過去の利回りは、各年の配当と3月末終値から計算しました。金額と図の数字は読みやすさのため丸めています。