三井住友トラストグループ
最終更新 2026年9月21日
保有株数は2026年8月1日の1株→4株の株式分割を反映した数です。年間配当は入金済み額ではなく、現在の株数と会社予想の配当から求めた相当額です。
どんな会社か
- 信託銀行の持株会社。中心は三井住友信託銀行です。総資産は82兆1,742億円、従業員は22,526人。
- 2011年に経営統合。中央三井トラスト・ホールディングスと住友信託銀行が統合して発足し、2024年10月にいまの社名へ変えました。
- 手数料で稼ぐ比重が大きい。本業のもうけのもとになる実質業務粗利益は9,602億円で、そのうち手数料収益比率は58.5%。年金や投資信託の資産を預かって管理し、不動産の仲介や証券の代行事務も手がけます。
- 稼ぎ頭は法人事業。実質業務純益1,971億円で、次が投資家事業860億円。不動産467億円と運用ビジネス340億円を持つのがメガバンクとの違いです。

実質業務純益とは何かをくわしく見る
実質業務純益は、会社が本業のもうけを表すものとして開示している数字です。一般企業の売上高にあたる「実質業務粗利益」9,602億円から、人件費や物件費などの総経費6,127億円を引いて求めます。上の7つの合計は3,475億円で、会社は本文で3,474億円と書いています(億円未満の端数処理による差です)。このページで「営業利益」を使っていないのは、銀行がこれを開示しないためです。セグメントは個人・法人・投資家・不動産・マーケット・運用ビジネス・その他の7つで、働いている人数がいちばん多いのは個人事業です。なお2026年3月期は、L&Fアセットファイナンスと三井住友トラストクラブの2社が連結の範囲から外れました。
出典:2026年3月期有価証券報告書(主要な経営指標等の推移・沿革)2026年3月期決算短信(セグメント情報・経営成績の概況)中期経営計画(2026〜2028年度)(手数料収益比率)。
ディフェンシブか、景気敏感か

出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(主要な経営指標等の推移)中期経営計画(2026〜2028年度)(主な環境想定)。
強みと懸念点
- 手数料で稼ぐ信託。年金や投資信託の資産を預かって管理し、不動産の仲介や資産運用も手がけます。お金を貸して利ざやを取るだけの銀行と違い、利益の半分以上を手数料で稼ぐので、金利の動きだけに左右されにくい形です。
- 明文化された還元方針。2026年に株主への還元を利益の50%以上へ引き上げました。配当は、持ち合い株を売った一度きりの利益を除いた利益の半分程度を目安にしていて、売却益で配当が上下しないようにしています。
- 金利上昇の追い風。金利が上がると、貸し出しや資金の運用で得る利ざやが広がります。この2年で収益が1兆円以上増えたのは、そのためです。
- 厚い規制上の自己資本。銀行の健全さを測る規制上の自己資本の比率を、「安定的に10%以上」に保つことを目標に置いています。帳簿上の自己資本比率が低く見えるのは、預金を預かる銀行の形だからです。
- 最高益の中身。最高益を押し上げたのは持ち合い株の売却益で、本業のもうけは前の期より減っています。売れる株がなくなったあと、何が利益を支えるのか。
- 利益の振れ。金利が上がれば利ざやは広がりますが、預かり資産の残高で決まる手数料は、相場が崩れれば減ります。2024年3月期は利益が半分以下に落ち、利益とほぼ同じ額を配当に回しました。
- 稼ぐ力の差。利益率も、自己資本で稼ぐ力も、メガバンク2行に届いていません。会社も2029年3月期に今より高い水準を目標に置いています。
- 高くなった株価。株価は10年で3倍以上に上がり、配当の伸びを上回ったため、いまの利回りは過去10年の平均を下回っています。
出典:2026年3月期決算短信中期経営計画(2026〜2028年度)株主還元方針の変更に関するお知らせ三菱UFJ 2026年3月期決算短信三井住友FG 2026年3月期決算短信。
いつも見ている8つの基準
8つのうち4つに判定を付けていません。営業利益率は、銀行が営業利益そのものを開示しないためです。営業CFと現金は、預金と貸出金の増減で兆円単位に動き、多い少ないが良し悪しを表しません。自己資本比率は、預金を預かる商売のため一般の会社と桁が変わります。いずれも数字は消さずに置き、同業の水準を添えました。
配当はどう増えたか

総還元性向50%以上を目安に株主還元を行う。1株当たり配当金については、累進的としつつ、政策保有株式の売却損益を除く「修正純利益」の50%程度を目安に決定する。
2026年5月14日に決めた新しい株主還元方針です。それまでは「累進的としつつ、連結配当性向40%以上を目安」でした。2027年3月期から適用されます。修正純利益は、純利益から政策保有株の売却損益(税引き後)を引いたものです。一時的な売却益で配当が上下しないようにする狙いがあります。
配当・配当性向の10年表
| 3月期 | 1株配当(円) | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2017 | 16.25 | 41.0% |
| 2018 | 16.25 | 32.2% |
| 2019 | 17.50 | 30.5% |
| 2020 | 18.75 | 34.5% |
| 2021 | 18.75 | 39.5% |
| 2022 | 21.25 | 37.7% |
| 2023 | 26.25 | 40.6% |
| 2024 | 27.50 | 100.8% |
| 2025 | 38.75(うち記念2.50) | 43.1% |
| 2026 | 46.25 | 40.9% |
| 2027予想 | 47.50 | 34.3% |
1株配当は、2016年10月1日の10株→1株の株式併合、2024年1月1日と2026年8月1日の1株→2株・1株→4株の株式分割を反映し、すべて現在の株数にそろえた金額です。2026年3月期の実額185円は、この表では46円25銭になります。2025年3月期の155円(実額)には記念配当10円が含まれ、普通配当は145円でした(現在の株数では36円25銭)。2024年3月期の配当性向100.8%は、この年に利益が792億円まで落ちたためで、配当そのものは減らしていません。2027年3月期の予想配当性向34.3%は決算短信の記載値(配当金総額を純利益で割った値)で、1株配当を1株利益で割ると34.5%になります。
出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(1株当たり配当額・配当性向)2026年3月期決算短信(配当の状況・記念配当の内訳)株主還元方針の変更に関するお知らせ。
いまの利回りの位置

過去の期末利回りを数字で見る
| 3月期 | 3月末終値 | 期末利回り |
|---|---|---|
| 2017 | 482.5円 | 3.37% |
| 2018 | 538.375円 | 3.02% |
| 2019 | 497円 | 3.52% |
| 2020 | 390.5円 | 4.80% |
| 2021 | 482.375円 | 3.89% |
| 2022 | 500.125円 | 4.25% |
| 2023 | 567.625円 | 4.62% |
| 2024 | 827円 | 3.33% |
| 2025 | 930円 | 4.17% |
| 2026 | 1,225.5円 | 3.77% |
出典:各年の1株配当と、東京証券取引所の3月末終値。どちらも株式併合・株式分割を反映して現在の株数にそろえたうえで、各年の配当を3月末終値で割り、丸める前の値で単純平均しました。現在の利回り・PER・PBRは、2026年9月18日終値1,768.5円、会社予想の配当47.50円・EPS137.67円、2026年3月末の1株当たり純資産5,104円06銭(分割後は1,276.015円)から計算しています。
業績と財務





業績・財務の10年表
| 3月期 | 経常収益(億円) | 経常利益(億円) | 純利益(億円) | EPS(円) | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 12,613 | 1964 | 1214 | 39.66 | 5.0% | 3.76% |
| 2018 | 13,509 | 2327 | 1540 | 50.49 | 6.1% | 3.83% |
| 2019 | 14,679 | 2564 | 1739 | 57.36 | 6.6% | 4.65% |
| 2020 | 15,354 | 2577 | 1630 | 54.29 | 6.3% | 4.52% |
| 2021 | 13,804 | 1832 | 1422 | 47.46 | 5.4% | 4.33% |
| 2022 | 14,011 | 2297 | 1691 | 56.43 | 6.3% | 4.2% |
| 2023 | 18,191 | 2858 | 1910 | 64.64 | 6.9% | 4.04% |
| 2024 | 24,753 | 1013 | 792 | 27.29 | 2.7% | 4.09% |
| 2025 | 29,224 | 3677 | 2576 | 89.89 | 8.3% | 3.95% |
| 2026 | 29,835 | 4015 | 3176 | 112.95 | 9.5% | 4.32% |
営業CFと期末の現金
| 3月期 | 営業CF(億円) | 現金及び現金同等物(兆円) |
|---|---|---|
| 2017 | 75333 | 24.5 |
| 2018 | 28405 | 26.5 |
| 2019 | 3743 | 14.1 |
| 2020 | -23953 | 11.0 |
| 2021 | 65531 | 16.8 |
| 2022 | -1203 | 15.7 |
| 2023 | 26162 | 19.2 |
| 2024 | 42945 | 20.8 |
| 2025 | 39767 | 23.1 |
| 2026 | 12204 | 22.6 |
長期数値の出典:各年の有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」。2021年3月期2026年3月期。EPSは株式併合と2回の株式分割を反映して現在の株数にそろえました。経常利益率は経常利益を経常収益で割った値で、2025年・2026年3月期は決算短信の「経常収益経常利益率」と一致します。2026年3月期の純利益は3,175億円(会社の記載どおり)としています。
同じ仕事の会社と比べる
メガバンクの三菱UFJと三井住友FGを並べました。3社とも日本基準の連結で、決算期もそろっています。
| 2026年3月期 | 三井住友トラスト 8309 | 三菱UFJ 8306 | 三井住友FG 8316 |
|---|---|---|---|
| 経常収益 | 2兆9,835億円 | 14兆6,208億円 | 10兆7,909億円 |
| 純利益 | 3,175億円 | 2兆4,272億円 | 1兆5,830億円 |
| 経常利益率 | 13.5% | 23.3% | 21.3% |
| ROE | 9.5% | 11.3% | 10.4% |
| 自己資本比率 | 4.3% | 5.2% | 4.8% |
| 配当性向 | 40.9% | 40.3% | 38.0% |
| 予想利回り | 2.69% | 2.65% | 2.64% |

三井住友FGは2026年9月30日を基準日として1株を2株にする株式分割を予定しています。上の予想利回り2.64%は、分割前の9月18日終値6,830円と分割前の予想配当180円で計算した値です。配当性向は3社とも決算短信の記載値(配当金総額を純利益で割った値)です。予想利回りは2026年9月18日終値1,768.5円・3,620円・6,830円と、今期予想配当47円50銭・96円・180円で計算しました。
出典:三井住友トラストグループ 2026年3月期決算短信三菱UFJフィナンシャル・グループ 2026年3月期決算短信三井住友フィナンシャルグループ 2026年3月期決算短信、東京証券取引所(2026年9月18日終値)。
直近の決算と注意点
2027年3月期第1四半期は大幅な増収増益でした。
通期の会社予想(純利益3,800億円・19.7%増)と配当予想47円50銭に修正はありません。純利益の進み具合は通期予想の37.4%です。会社は経常収益と経常利益の通期予想を開示しておらず、純利益だけを示しています。
見るところは、この増益がどこから来たかです。本決算では、本業のもうけを表す実質業務純益が前期から145億円減る一方、政策保有株の売却で株式等関係損益が1,388億円(前期比574億円増)になり、これが最高益を支える形になっていました。第1四半期の中身が同じ形なのか、それとも本業が戻っているのかを11月の中間決算で確かめます。
もう1つ、2026年7月30日に子会社の形が変わりました。総合リース会社の三井住友トラスト・パナソニックファイナンス(2026年10月からSMTBリース)について、芙蓉総合リース・横浜フィナンシャルグループと共同事業にする最終契約を結び、連結子会社から持分法適用関連会社に変わります。同社の2026年3月期は連結総資産1兆6,369億円・純利益189億円でした。
出典:2027年3月期第1四半期決算短信2026年3月期決算短信三井住友トラスト・パナソニックファイナンスの資本再編、連結子会社の異動に関する契約締結および社名変更のお知らせ。
決算とIRの記録
出典:2027年3月期第1四半期決算短信自己株式の取得状況および取得終了ならびに自己株式の消却に関するお知らせ2026年3月期決算短信株主還元方針の変更に関するお知らせ中期経営計画(2026〜2028年度)について2026年3月期有価証券報告書。
1株の金額(配当・EPS・株価)は、2016年10月1日の10株→1株の株式併合と、2024年1月1日・2026年8月1日の株式分割をすべて反映し、現在の株数にそろえています。
営業利益率・営業CF・現金の3つは、銀行に一般の会社の基準が当てはまらないため判定を付けず、数字だけを置いています。自己資本比率も同じ扱いです。また、このページの自己資本比率は総資産に対する自己資本の割合で、銀行の規制上の自己資本比率(自己資本比率告示に定めるもの)とは別のものです。
過去の利回りは、各年の配当と3月末終値から計算しました。金額と図の数字は読みやすさのため丸めています。