三菱商事
最終更新 2026年9月19日
取得総額51,660円、表示取得単価は2,460円です。取得利回りは取得総額で計算しました。年間配当は入金済み額ではなく、現在の株数と会社予想から求めた相当額です。
どんな会社か
- 総合商社の最大手。天然ガスや金属資源から食品・電力・コンビニまで、8つの事業を手がけます。2026年3月期の収益18兆9,160億円は国内商社で最大です。
- 設立は1950年。1918年発足の旧三菱商事が戦後に解散したあと、第二会社として設立。1954年に3社を吸収合併し、総合商社として新発足しました。
- 出資して稼ぐ形。連結子会社833社・持分法適用会社349社を持ち、物を売買する利ざやだけでなく、出資した事業会社の利益と配当で稼ぎます。
- 利益の半分が資源。2026年3月期の事業別純利益は金属資源27.2%・地球環境エネルギー21.4%で、この2つで48.6%を占めます。
事業の内訳をくわしく見る
金属資源は豪州の原料炭事業(MITSUBISHI DEVELOPMENT)やチリ・ペルーの銅事業が中心で、従業員932人で純利益2,045億円を稼ぐ、少人数で利益の大きい事業です。地球環境エネルギーはブルネイLNGやカメロンLNGなど天然ガス・LNGの権益を持ちます。S.L.C.はローソン・三菱食品・ライフコーポレーションなどの小売・物流で、ローソンは2025年3月期に連結子会社から持分法適用会社に変わりました。このため2025年3月期に従業員数が8万37人から6万2,062人へ減っています。電力ソリューションはオランダのEnecoや米国の発電事業、モビリティはいすゞ車の海外販売と三菱自動車工業、食品産業はサーモン養殖のCERMAQやIndiana Packersなどです。2026年4月からは地球環境エネルギーと電力ソリューションを「エネルギー&パワーソリューション」に統合した7グループ体制に再編されています。
出典:2026年3月期有価証券報告書(沿革・事業の内容・主要な関係会社・従業員の状況)2026年3月期決算短信(セグメント情報)。事業別の純利益は「当社の所有者に帰属する当期純利益」で、構成比は8セグメントの合計7,521億円に対する割合です。連結の純利益8,005億円との差は「その他」518億円と調整・消去です。
ディフェンシブか、景気敏感か

出典:2016年3月期有価証券報告書(持分法による投資損益の減少理由・1株当たり配当額)2017年3月期有価証券報告書。配当額は分割前の実額です。2010年3月期以前の配当実額は一次資料で確認できていません。
強みと懸念点
- 累進配当を明文。利益は資源の値段で大きく揺れますが、利益の成長に合わせて配当を増やす「累進配当」を決算短信に書き、10期続けて増配しています。大きな自社株買いも行いました。
- 8事業への分散。資源・エネルギーから食品・電力・コンビニまで、8つの事業に出資しています。資源の値段が下がる年も、食品や小売などほかの事業が稼ぎを支える形です。
- 厚い手元資金。本業のお金の出入りは10年ずっとプラスで、手元の現金はこの10年で最も多くなりました。
- 資源市況への依存。利益の半分近くを、原料炭や銅、天然ガスなどの資源で稼ぎます。資源の値段は世界の景気で大きく動き、値段が崩れた2016年3月期は赤字になって、配当を減らしました。
- 落ちてきた稼ぐ力。資源の値段の下落や出資先の損失が重なり、利益も、自己資本で稼ぐ力も、この4年続けて下がりました。いまは一般的な目安のすぐ上です。
- 持分法に頼る利益。利益の半分以上は、自社で経営していない出資先の会社の利益の取り分です。自分で動かせない利益が多いなか、次に深い不況が来たとき、累進配当は守られるか。
2026年3月期の純利益8,005億円のうち、4,679億円(58.5%)が持分法による投資損益です。
出典:2026年3月期決算短信(株主還元の基本方針・翌連結会計年度の見通し・セグメント情報・持分変動計算書)2027年3月期第1四半期決算短信2016年3月期有価証券報告書。
いつも見ている8つの基準
配当はどう増えたか

配当・配当性向の10年表
| 3月期 | 1株配当(円) | 配当性向(連結) |
|---|---|---|
| 2017 | 26.67 | 28.8% |
| 2018 | 36.67 | 31.1% |
| 2019 | 41.67 | 33.6% |
| 2020 | 44.00 | 37.9% |
| 2021 | 44.67 | 114.7% |
| 2022 | 50.00 | 23.6% |
| 2023 | 60.00 | 22.2% |
| 2024 | 70.00 | 30.4% |
| 2025 | 100.00 | 42.2% |
| 2026 | 110.00 | 52.2% |
| 2027予想 | 125.00 | 41.6% |
2024年1月1日に普通株式1株につき3株の株式分割を行っています。グラフと表の配当額はすべて分割調整後です。2017〜2021年3月期は有価証券報告書の実額80円・110円・125円・132円・134円を3で割った値、2022年3月期以降は有価証券報告書に分割調整後で記載されている値です。2021年3月期の配当性向114.7%は、コロナと資源価格の下落で純利益が1,726億円まで減った年のものです。2017〜2026年3月期の有価証券報告書・決算短信に記念配当・特別配当の記載はありません。
出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書2017年3月期有価証券報告書(1株当たり配当額・配当性向)2026年3月期決算短信(配当の状況)。
いまの利回りの位置

過去の期末利回りを数字で見る
| 3月期 | 3月末終値 | 期末利回り |
|---|---|---|
| 2017 | 801円 | 3.33% |
| 2018 | 953円 | 3.85% |
| 2019 | 1,024円 | 4.07% |
| 2020 | 763円 | 5.77% |
| 2021 | 1,043円 | 4.28% |
| 2022 | 1,533円 | 3.26% |
| 2023 | 1,583円 | 3.79% |
| 2024 | 3,487円 | 2.01% |
| 2025 | 2,626円 | 3.81% |
| 2026 | 5,317円 | 2.07% |
出典:各年の配当(分割調整後)と株探の月足データ(3月末終値、分割調整後)。各年の配当を3月末終値で割り、丸める前の値で単純平均しました。現在の利回り・PER・PBRは、2026年9月17日終値4,979円、会社予想の配当125円・EPS300.42円、2026年3月末の1株当たり当社所有者帰属持分2,578.33円から計算しています。
業績と財務

2019年3月期の収益は前期比8兆5,364億円(113%)増えています。会社は有価証券報告書で「IFRS第15号の適用に伴い、財の移転を本人としての履行義務と認識して、対価の総額を収益として認識する取引が増加したこと」が理由と説明しており、事業が2倍になったわけではありません。三菱商事はIFRSを採用しているため経常利益の区分がなく、営業利益率は8つの基準では評価していません。




業績・財務の10年表
| 3月期 | 収益(億円) | 純利益(億円) | EPS(円) | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 64,258 | 4,403 | 92.60 | 9.3% | 31.2% |
| 2018 | 75,674 | 5,602 | 117.76 | 10.9% | 33.3% |
| 2019 | 161,038 | 5,907 | 124.13 | 10.7% | 34.5% |
| 2020 | 147,797 | 5,354 | 116.17 | 9.8% | 29.0% |
| 2021 | 128,845 | 1,726 | 38.95 | 3.2% | 30.1% |
| 2022 | 172,648 | 9,375 | 211.69 | 15.0% | 31.4% |
| 2023 | 215,720 | 11,807 | 269.76 | 15.8% | 36.4% |
| 2024 | 195,676 | 9,640 | 230.10 | 11.3% | 38.6% |
| 2025 | 186,176 | 9,507 | 236.97 | 10.3% | 43.6% |
| 2026 | 189,160 | 8,005 | 210.92 | 8.5% | 39.1% |
営業CFと期末の現金(億円)
| 3月期 | 営業CF | 現金同等物 |
|---|---|---|
| 2017 | 5,830 | 11,455 |
| 2018 | 7,425 | 10,055 |
| 2019 | 6,527 | 11,606 |
| 2020 | 8,497 | 13,228 |
| 2021 | 10,176 | 13,178 |
| 2022 | 10,558 | 15,556 |
| 2023 | 19,301 | 15,570 |
| 2024 | 13,474 | 12,516 |
| 2025 | 16,583 | 15,366 |
| 2026 | 14,900 | 18,415 |
長期数値の出典:各年の有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」。2017年3月期2021年3月期2026年3月期2019年3月期(収益が増えた理由)。自己資本比率は「当社所有者帰属持分比率」、ROEは「当社所有者帰属持分当期純利益率」で、いずれも非支配持分を除いた金額で計算された有価証券報告書の記載値です。2019年3月期・2023年3月期の総資産などは、その後の有価証券報告書で遡って修正された値を使っています。
同じ仕事の会社と比べる
総合商社の同業から、三井物産と伊藤忠商事を並べました。3社とも3月期・IFRSの連結で、規模の近い組み合わせです。
| 2026年3月期 | 三菱商事 8058 | 三井物産 8031 | 伊藤忠商事 8001 |
|---|---|---|---|
| 収益 | 18兆9,160億円 | 13兆9,952億円 | 14兆8,231億円 |
| 営業利益率 | 2.21% | 3.04% | 4.74% |
| ROE | 8.5% | 10.2% | 14.6% |
| 自己資本比率 | 39.1% | 42.1% | 39.4% |
| 配当性向 | 52.2% | 39.5% | 32.8% |
| 予想利回り | 2.51% | 2.68% | 1.86% |

ROEは各社の純利益÷自己資本(期首・期末平均)で計算しました。予想利回りは2026年9月17日終値4,979円・5,224円・2,370円と、2027年3月期の予想配当125円・140円・44円から計算しています。伊藤忠商事は2026年1月1日に、三井物産は2024年7月1日に株式分割を行っており、配当額は分割後の金額です。商社の収益には自分が仕入れて売る取引の総額が載るため、営業利益率は製造業と同じ水準にはなりません。
出典:三菱商事 2026年3月期決算短信三井物産 2026年3月期決算短信伊藤忠商事 2026年3月期決算短信(配当の状況・連結経営成績)、株探(3月末終値・直近終値)。営業利益率・ROEは各社の開示値から算出しました。
直近の決算と注意点
2027年3月期第1四半期は大幅な増収・増益でした。
通期の会社予想は純利益1兆1,000億円(37.4%増)で、第1四半期時点の修正はありません。進み具合は27.1%です。自己資本比率も前期末の39.1%から41.1%に上がっています。
その前の2026年3月期は、税引前利益が21.3%減、純利益が15.8%減でした。減益の中身はセグメントごとに分かれています。マテリアルソリューションはサウディ石油化学と基礎化学事業の減損で420億円減、モビリティは自動車関連の持分法投資の減損で548億円減、S.L.C.は前年度のローソン持分法適用会社化にともなう再評価益の反動で940億円減でした。一方、社会インフラは千代田化工建設のGolden Pass LNGプロジェクトの契約改定などで453億円増、電力ソリューションは前年度の減損の反動で590億円増でした。金属資源も原料炭の市況下落と前年度の炭鉱売却の反動で233億円減っています。
会社は2026年8月3日に第1四半期決算を開示したあと、8月6日に「監査法人による期中レビューの完了」を改めて公表しています。四半期連結財務諸表の内容に変更はありません。
出典:2027年3月期第1四半期決算短信同・監査法人による期中レビューの完了2026年3月期決算短信(セグメント別の状況・翌連結会計年度の見通し)。
決算とIRの記録
出典:2026年3月期決算短信2027年3月期第1四半期決算短信監査法人による期中レビューの完了2026年3月期有価証券報告書。
三菱商事はIFRS(国際会計基準)を採用しているため、経常利益の区分がありません。自己資本比率は有価証券報告書の「当社所有者帰属持分比率」、ROEは「当社所有者帰属持分当期純利益率」を使い、いずれも非支配持分を除いた金額で計算されています。
営業利益率は、いつも見ている8つの基準では評価していません。商社の収益には自分が仕入れて売る取引の総額が載るため、製造業と同じ物差しでは比べられないからです。商社5社を並べると2.2〜5.4%で、三菱商事はその中で最も低い水準です。
2019年3月期の収益は、IFRS第15号の適用で前期比113%増えています。事業が2倍になったわけではありません。
2024年1月1日に普通株式1株につき3株の株式分割を行っています。EPS・1株配当はすべて分割調整後の値です。2017〜2021年3月期のEPSと配当は、有価証券報告書の実額を3で割って求めました。
過去の利回りは、各年の配当(分割調整後)と3月末終値(分割調整後)から計算しました。金額と図の数字は読みやすさのため丸めています。