竹内製作所
どんな会社か
- 小型建設機械の専業。長野県坂城町のメーカーで、顧客の所在地で分けると売上の99.4%が海外です
- 1963年に設立。自動車部品の下請として始まり、1971年にミニショベル、1986年にクローラーローダーの生産を加えました
- 扱うのは2機種。重さ6トン未満のミニショベルと、不整地で土を積んだり運んだりするクローラーローダーです
- 売上の57%が北米、40%が欧州。最大の取引先は米国のレンタル会社ユナイテッド・レンタルズで、売上の16.2%を占めます

いま売れている機種と、新工場の計画
北米では住宅購入が停滞し、ミニショベルが伸び悩んでいます。売れているのはクローラーローダーです。インフラやデータセンター建設など、住宅以外の工事で使われています。会社は工場の生産機種を組み替え、2028年2月期にクローラーローダーの生産台数を2025年2月期の2倍にする計画です。専用の新工場も建てます。ただ2026年8月に、稼働を2028年1月から2029年5月へ延ばし、投資額を約180億円から約246億円に見直しました。
出典:2026年2月期有価証券報告書(沿革・事業の内容・セグメント情報・事業等のリスク)。
ディフェンシブか、景気敏感か

出典:2012年2月期有価証券報告書(リーマン・ショック期の数字)と2026年2月期有価証券報告書。2025年3〜5月は、米国の関税をめぐる先行きの不透明さから北米で購入を見合わせる動きが出て、販売台数が大きく落ち込みました。昔の数字は当時の実額で、10年グラフには含めていません。分類は管理シートに合わせています。
強みと懸念点
- 増配の継続。リーマン・ショックのあとに途絶えた配当を2012年2月期に再開してから、14期続けて増配しています。今期から中間配当も始めました。
- 小型機に絞った品ぞろえ。作るのは小型のショベルとローダーの2機種だけです。得意な分野に絞っているので、売上は大手の何分の一でも、利益率も自己資本で稼ぐ力も建設機械の大手2社を上回ります。
- 住宅以外で伸びる機種。北米で売れているクローラーローダーは、インフラやデータセンターの建設現場で使われます。住宅市場が鈍るなかでも伸びていて、会社は生産を倍にする計画です。
- 無借金の財務。借入金はなく、資産の8割以上が自前のお金です。本業のお金の出入りは10年ずっとプラスです。
- 不況の年の赤字と無配。買い手はレンタル会社や販売店で、先行きが読めないと購入を先送りします。リーマン・ショックのあとは売上が2年で7割減り、3期続けて赤字で、2期は無配でした。売上がまた大きく落ちる年に、14期続く増配を保てるか。
- 米国の関税。日本で作って米国に輸出するため、関税がそのまま費用になります。値上げで取り戻せるのはその一部で、今期はその分の減益を見込んでいます。
- 大口顧客と米国への集中。売上の半分以上が米国向けで、上位2社の顧客だけで4分の1を超えます。大口のレンタル会社が購入を控えれば、売上がまとまって減ります。
- 為替。日本で作ってほぼすべてを海外で売るので、円高になると円に直した売上と利益が減ります。為替で利益が大きく振れる会社です。
米国の顧客向けが売上の55.6%で、上位2社のユナイテッド・レンタルズとHUPPENKOTHENで27.3%を占めます。北米の販売店網は1年で27拠点増え、307拠点になりました。
いつも見ている8つの基準
配当はどう増えたか

配当・配当性向の10年表
| 2月期 | 普通配当(円) | 記念込み(円) | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2017 | 26 | 26 | 16.0% |
| 2018 | 36 | 36 | 18.0% |
| 2019 | 45 | 45 | 18.8% |
| 2020 | 50 | 50 | 26.2% |
| 2021 | 53 | 53 | 25.9% |
| 2022 | 68 | 68 | 24.3% |
| 2023 | 98 | 98 | 29.2% |
| 2024 | 153 | 158 | 28.8% |
| 2025 | 200 | 200 | 36.2% |
| 2026 | 210 | 210 | 34.3% |
| 2027予想 | 220 | 220 | 39.2% |
キャッシュフローを成長投資に優先配分し、月商の2ヶ月から2.5ヶ月分を目安として運転資金を確保したうえで、余剰資金を株主還元に充当する。① 連結配当性向 40% を目指し、段階的に引き上げていく。
有価証券報告書の配当政策の一節です。配当性向は2025年2月期が36.2%、2026年2月期が34.3%で、今期の予想は39.2%。40%にはまだ届いていません。同じ方針の②で、自己株式の取得も「機動的に実施する」としています。2024年10月から2025年1月にかけて、70億円で145万9,700株を買いました。 配当性向は記念込みの1株配当÷1株利益(連結)で計算しました。株式分割はありません。

出典:2026年2月期有価証券報告書2021年2月期有価証券報告書(1株当たり配当額・配当政策)と各年の決算短信。
いまの利回りの位置

過去の期末利回りを数字で見る
| 2月期 | 期末利回り |
|---|---|
| 2017 | 1.16% |
| 2018 | 1.39% |
| 2019 | 2.31% |
| 2020 | 3.02% |
| 2021 | 1.97% |
| 2022 | 2.65% |
| 2023 | 3.37% |
| 2024 | 3.00% |
| 2025 | 3.90% |
| 2026 | 2.80% |
出典:各年の有価証券報告書(配当)と各年2月末の終値。各年の配当を2月末終値で割り、単純平均しました。現在の利回り・PER・PBRは、2026年9月10日終値7,260円と会社予想配当220円から計算しています。
業績と財務




業績・財務の10年表
| 2月期 | 売上(億円) | 営業利益(億円) | 営業利益率 | EPS(円) | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 830 | 134.0 | 16.1% | 162.07 | 13.5% | 72.7% |
| 2018 | 943 | 141.3 | 15.0% | 200.20 | 14.9% | 74.5% |
| 2019 | 1,102 | 154.1 | 14.0% | 238.83 | 15.7% | 74.5% |
| 2020 | 1,159 | 126.5 | 10.9% | 190.64 | 11.3% | 76.8% |
| 2021 | 1,123 | 132.1 | 11.8% | 204.78 | 11.3% | 77.8% |
| 2022 | 1,409 | 177.6 | 12.6% | 279.91 | 13.8% | 75.9% |
| 2023 | 1,790 | 212.2 | 11.9% | 335.19 | 14.1% | 76.7% |
| 2024 | 2,126 | 353.0 | 16.6% | 548.58 | 19.4% | 74.5% |
| 2025 | 2,132 | 371.4 | 17.4% | 552.45 | 16.6% | 76.7% |
| 2026 | 2,253 | 376.9 | 16.7% | 611.92 | 16.0% | 83.0% |
営業CFと期末の現金(億円)
| 2月期 | 営業CF | 現金同等物 |
|---|---|---|
| 2017 | 68.2 | 236.3 |
| 2018 | 104.1 | 304.1 |
| 2019 | 84.2 | 344.6 |
| 2020 | 54.9 | 336.1 |
| 2021 | 103.8 | 396.2 |
| 2022 | 137.8 | 466.5 |
| 2023 | 85.4 | 435.2 |
| 2024 | 246.4 | 546.8 |
| 2025 | 82.8 | 460.5 |
| 2026 | 228.9 | 562.4 |
長期数値の出典:2026年2月期有価証券報告書2021年2月期有価証券報告書(主要な経営指標等の推移)。売上・営業利益・現金は読みやすさのため億円に丸めています。
同じ仕事の会社と比べる
建設機械の大手であるコマツと日立建機を並べました。
| 建設機械 3社 | 竹内製作所 | コマツ | 日立建機 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,253億円 | 4兆1,328億円 | 1兆4,055億円 |
| 営業利益率 | 16.7% | 13.7% | 9.3% |
| 自己資本比率 | 83.0% | 54.7% | 48.5% |
| 配当性向 | 34.3% | 45.9% | 50.9% |
| 予想配当利回り | 3.03% | 2.57% | 3.34% |

※竹内製作所は2026年2月期、コマツと日立建機は2026年3月期の連結実績です。会計基準がそろっていません(竹内製作所は日本基準、コマツは米国基準、日立建機はIFRS)。コマツの自己資本比率は会社が示す株主資本比率、日立建機は親会社株主持分比率です。予想配当利回りは2026年9月10日終値と、各社の2027年の予想配当(コマツ190円・日立建機190円)で計算しました。
出典:各社の直近の決算短信。株価は2026年9月10日終値です。
直近の決算と注意点
2027年2月期第1四半期は増収・営業減益でした。
米国の関税で19億円の減益要因がありました。受注高が大きく増えたのは、米国の大手レンタル会社からまとまった受注があったためです。通期では、関税のコスト増187億円のうち価格に転嫁できるのは75億円で、差し引き112億円の減益を会社は見込んでいます。2026年8月には、クローラーローダー新工場の稼働開始を2028年1月から2029年5月へ延期し、総投資額を約180億円から約246億円に見直しました(理由は建設業界の人手不足と建設コストの上昇)。
出典:2027年2月期第1四半期決算短信2026年2月期有価証券報告書。
決算とIRの記録
数字は2026年9月10日時点。主な出典は竹内製作所の2026年2月期有価証券報告書(2022年2月期〜2026年2月期)、2021年2月期有価証券報告書(2017年2月期〜2021年2月期)、2012年2月期有価証券報告書(2008年2月期〜2012年2月期)、2026年2月期決算短信、2027年2月期第1四半期決算短信、および各適時開示です。地域別の売上は2026年2月期有価証券報告書の中期経営計画の表、顧客の所在地別と主要な顧客の売上は同報告書のセグメント情報によります。株価と過去の配当利回りはIR BANKの株価データで計算しました。同業比較はコマツ・日立建機の2026年3月期決算短信によります。
※2015年9月1日に1株を3株にする株式分割をしています。10年の配当とEPSは分割後の数字です。
※復配後の連続増配の数え方は、2012年2月期から2016年2月期の配当を分割に合わせて調整した値(IR BANK)で確認しています。
※表示金額は読みやすさのため億円単位に丸めています。PERは会社予想EPS560円69銭で計算しています。