ツムラ
どんな会社か
- 医療用漢方の最大手。病院で処方される漢方薬が主力で、国内シェアは84.4%です(会社がIQVIAのデータで集計した2026年3月までの1年間)
- 1893年に創業。「中将湯」の津村順天堂として始まり、1976年に医療用漢方製剤が健康保険の対象になりました
- 129処方を持つ。売上の多い順に大建中湯147億円、抑肝散111億円、五苓散83億円と続きます。2008年に家庭用品事業を売りました
- 事業は国内と中国。国内が売上の8割強で、そのほとんどが医療用漢方製剤です。中国は原料生薬と飲片(刻んだ生薬)の販売です

中国での提携と、最近の買収
中国では平安保険グループと組んでいます。2017年に第三者割当で平安グループの生命保険会社が株主になり、いまは発行済株式の10.20%を持つ2番目の大株主です。中国の中薬市場は約15.9兆円です。日本の漢方市場の約60倍と会社は説明しています。2026年9月には、養命酒製造を68億円で子会社にしました。
出典:2026年3月期有価証券報告書(沿革・事業の内容・セグメント情報・事業等のリスク)。国内の売上は1,612億円で、そのうち医療用漢方製剤が1,539億円、国内のその他は10億円でした。シェア84.4%は、会社がIQVIAのデータで集計した2026年3月までの1年間の数字です。
ディフェンシブか、景気敏感か

出典:2007年3月期〜2026年3月期の決算短信と2026年3月期有価証券報告書。2025年3月期は薬価の引き上げで売上が20.1%増えました。昔の配当は当時の実額です。分類は管理シートに合わせています。
強みと懸念点
- 医療用漢方の8割超。病院で出す漢方薬の8割以上がツムラの製品です。漢方薬が健康保険の対象になった1976年から処方をそろえてきた先行者で、医師が処方すればそのまま売上になります。比べた医薬品2社を上回る利益率です。
- DOEで決める配当。株主のお金に対して配る割合の目標を明文にしています。株主のお金は利益ほど上下しないので、薬の値段の改定で利益が動いても配当は下げにくく、2007年3月期から減配はありません。
- 不況に強い需要。景気が悪くなっても、病院で出される薬の量はあまり減りません。リーマン・ショックの年も営業利益を増やし、配当も増やしました。
- 薬価。保険で使う薬の値段は国が決めます。2025年3月期に利益が倍になったのは、国が多くの漢方薬の値段を上げたためで、会社の力だけで得た伸びではありません。逆に値段が下がれば、利益はそのまま削られます。
- 原料の中国依存。原料の生薬は植物で、そのほとんどを中国から調達しています。天候が悪ければ採れる量が減り、輸入の規制が変われば手に入りにくくなります。量と値段が揺れることを、会社もリスクに挙げています。
- 借入を増やした中国投資。中国の市場は日本の漢方の約60倍と大きく、そこに向けて上海の会社を借入も使って買いました。借入は1年で倍近くになりましたが、中国の事業は利益がほとんど出ていません。借りたお金に見合う利益を、中国で生めるか。
いつも見ている8つの基準
配当はどう増えたか

配当・配当性向の10年表
| 3月期 | 1株配当(円) | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2017 | 64 | 35.7% |
| 2018 | 64 | 31.9% |
| 2019 | 64 | 33.5% |
| 2020 | 64 | 35.6% |
| 2021 | 64 | 31.9% |
| 2022 | 64 | 26.0% |
| 2023 | 64 | 29.7% |
| 2024 | 85 | 38.7% |
| 2025 | 136 | 31.8% |
| 2026 | 147 | 39.1% |
| 2027予想 | 158 | 約45% |
「財務健全性を確保した最適資本構成に基づく最適な配当」を追求する観点から、DOE(株主資本配当率)を指標とし、健全なバランスシートを保ちながら、ROE向上と配当の段階的な拡充を目指しています。2031年度までに目指す水準として設定したDOE5%到達に向け、着実に配当運営を実施してまいります。
有価証券報告書の配当政策の一節です。DOEは2023年3月期が2.0%、2024年3月期が2.5%。2025年3月期と2026年3月期は3.6%で、今期の予想も3.6%です。目標の5%まで、あと1.4ポイントあります。2025年には60億円の自己株式の取得もしました。 配当性向は1株配当÷1株利益(連結)で計算しました。決算短信が表示する2026年3月期の配当性向39.4%とは、株数の取り方の違いでわずかにずれます。株式分割はありません。

出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(1株当たり配当額・配当政策)と2007年3月期〜2026年3月期の決算短信。
いまの利回りの位置

過去の期末利回りを数字で見る
| 3月期 | 期末利回り |
|---|---|
| 2017 | 1.83% |
| 2018 | 1.75% |
| 2019 | 1.90% |
| 2020 | 2.33% |
| 2021 | 1.62% |
| 2022 | 2.00% |
| 2023 | 2.43% |
| 2024 | 2.22% |
| 2025 | 3.15% |
| 2026 | 3.92% |
出典:各年の決算短信(配当)と各年3月末の終値。各年の配当を3月末終値で割り、単純平均しました。現在の利回り・PER・PBRは、2026年9月11日終値3,717円と会社予想配当158円から計算しています。
業績と財務




業績・財務の10年表
| 3月期 | 売上(億円) | 営業利益(億円) | 営業利益率 | EPS(円) | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 1,150 | 159.8 | 13.9% | 179.46 | 8.12% | 69.7% |
| 2018 | 1,179 | 170.5 | 14.5% | 200.55 | 8.33% | 66.2% |
| 2019 | 1,209 | 185.2 | 15.3% | 190.87 | 7.38% | 70.2% |
| 2020 | 1,232 | 188.8 | 15.3% | 179.96 | 6.76% | 65.8% |
| 2021 | 1,309 | 193.8 | 14.8% | 200.40 | 7.25% | 68.3% |
| 2022 | 1,295 | 223.8 | 17.3% | 246.21 | 8.23% | 68.3% |
| 2023 | 1,400 | 209.2 | 14.9% | 215.63 | 6.70% | 63.5% |
| 2024 | 1,508 | 200.2 | 13.3% | 219.83 | 6.39% | 63.2% |
| 2025 | 1,811 | 401.3 | 22.2% | 427.15 | 11.35% | 64.7% |
| 2026 | 1,926 | 352.2 | 18.3% | 376.28 | 9.04% | 54.3% |
営業CFと期末の現金(億円)
| 3月期 | 営業CF | 現金同等物 |
|---|---|---|
| 2017 | 210.7 | 299.0 |
| 2018 | 210.7 | 783.1 |
| 2019 | 54.5 | 562.4 |
| 2020 | 181.9 | 576.9 |
| 2021 | 161.0 | 596.7 |
| 2022 | 213.1 | 675.4 |
| 2023 | 164.5 | 947.3 |
| 2024 | 56.1 | 780.3 |
| 2025 | 338.2 | 731.4 |
| 2026 | 247.2 | 782.6 |
長期数値の出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(主要な経営指標等の推移)。売上・営業利益・現金は読みやすさのため億円に丸めています。
同じ仕事の会社と比べる
目薬やスキンケアのロート製薬と、胃腸の病院向けの薬と市販薬を持つゼリア新薬を並べました。
| 医薬品 3社 | ツムラ | ロート製薬 | ゼリア新薬 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,926億円 | 3,437億円 | 892億円 |
| 営業利益率 | 18.3% | 12.0% | 13.9% |
| 自己資本比率 | 54.3% | 62.1% | 60.3% |
| 配当性向 | 39.4% | 30.4% | 25.5% |
| 予想配当利回り | 4.25% | 1.79% | 2.52% |

※3社とも2026年3月期の連結実績(日本基準)です。予想配当利回りは2026年9月11日終値と、各社の2027年3月期の予想配当(ツムラ158円・ロート製薬50円・ゼリア新薬50円)で計算しました。
出典:各社の2026年3月期決算短信。株価は2026年9月11日終値です。
直近の決算と注意点
2027年3月期第1四半期は増収・増益でした。
純利益が大きく伸びたのは、海外子会社への貸付金にかかる為替差益によるものです。医療用漢方製剤は6.8%増え、実際の需要である実売数量は3.4%増えました。通期の会社予想は売上2,136億円、営業利益375億円、純利益262億円(−6.8%)、配当158円で、変更はありません。2026年9月には養命酒製造を68億円で子会社にしており、今期の業績への影響は「精査中」とされています。
出典:2027年3月期第1四半期決算短信2026年3月期有価証券報告書。
決算とIRの記録
数字は2026年9月11日時点。主な出典はツムラの2026年3月期有価証券報告書、2021年3月期有価証券報告書、2007年3月期〜2026年3月期の決算短信、2027年3月期第1四半期決算短信、2026年3月期決算説明会資料、および各適時開示です。国内シェアはツムラのウェブサイト「数字で見るツムラ」(IQVIA「JPM2026年3月MAT」をもとに同社が集計)によります。株価と過去の配当利回りは株探の月足データで計算しました。同業比較はロート製薬・ゼリア新薬の2026年3月期決算短信によります。
※2022年3月期から収益認識に関する会計基準を適用しています。2021年3月期の売上高は旧基準で1,309億円、新基準で1,164億円です。
※2007年3月期以降、株式分割・併合はしていません。2017年10月に第三者割当で598万6,700株を発行しています。
※表示金額は読みやすさのため億円単位に丸めています。PERは会社予想EPS351円46銭で計算しています。