東ソー
最終更新 2026年9月16日
年間配当は入金済み額ではなく、保有株数42株と2027年3月期の会社予想配当100円から求めた相当額です。この会社の配当は中間50円・期末50円の年2回です。
どんな会社か
- 総合化学メーカー。塩から作る苛性ソーダと塩化ビニルを土台に、石油化学からバイオ医薬品向けの材料まで幅を広げています。
- 1935年に創業。「東洋曹達工業」として山口県(いまの周南市)で始まり、1949年に東京証券取引所へ上場しました。
- 半導体まわりも扱う。半導体工場で使う石英ガラスや薄膜材料、そして工場の水をきれいにするプラントを手がけています。
- 従業員1万4,850人・売上1兆円。製品の売値が海外の市況で決まる事業と、受注で積み上げる事業が同居しています。

事業別の売上と営業利益(2026年3月期)
| 事業 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| クロル・アルカリ | 3,460 | 19 | 0.5% |
| 機能商品 | 2,729 | 399 | 14.6% |
| エンジニアリング | 1,864 | 404 | 21.7% |
| 石油化学 | 1,697 | 97 | 5.7% |
| その他 | 449 | 36 | 8.0% |
2027年3月期の第1四半期から、報告セグメントが4区分+その他から5区分(基礎素材・付加価値素材・バイオサイエンス・高機能材料・水処理エンジニアリング)へ変わりました。上の表は変更前の区分による2026年3月期の実績です。
出典:2026年3月期決算短信2026年3月期有価証券報告書(沿革・事業の内容・セグメント情報)。
ディフェンシブか、景気敏感か

出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(事業等のリスク・経営成績の分析)。分類は保有株の管理シートに合わせています。
強みと懸念点
- 還元方針の明文化。年100円を配当の下限と金額で決め、配当だけで利益の半分に届かない年は自社株買いで埋めると書き分けています。利益が落ちた前の期は、利益を上回る額を株主に返しました。
- 水処理プラントの受注。生成AI向けの先端半導体の工場は、大量のきれいな水を使います。その水処理プラントを手がける子会社の仕事が増え、会社でいちばんの稼ぎ頭になりました。
- 2つの稼ぎ頭。水処理と並んで、バイオ医薬品の精製に使う材料などの機能商品が大きく稼ぎます。売値が海外の相場で決まる基礎化学品が不振でも、この2つの事業が会社の利益のほとんどを支えています。
- 財務の余力。自前のお金の割合は6割近くあり、手元の現金は10年で倍になりました。利益が落ちた年でも、下限の100円を払えるだけの余力があります。
- 配当性向の上振れ。配当を100円と金額で決めているため、利益が落ちると、そのまま利益に対する割合が上がります。前の期はアメリカの子会社の損失で利益が落ち、利益の4分の3を配当に回しました。
- 不況の年に減らした過去。売値が海外の相場で決まる製品が多く、不況で相場が崩れると利益が一気に消えます。リーマン・ショックの年は赤字になり、配当を減らして、その水準が5年以上続きました。深い不況がまた来たとき、100円の下限は守られるか。
- 中国の増設と市況。中国が工場を増やし、余った分を安く輸出しています。そのため売値が下がり、売上の3分の1を占める苛性ソーダや塩ビの事業は、利益の大半を失いました。
- 稼ぐ力の落ち込み。自前のお金は積み上がる一方で、利益がそれに追いついていません。自己資本で稼ぐ力は10年前の4分の1まで下がり、この4年は一般的な目安を下回っています。
売上の50.4%が海外の顧客向けです。クロル・アルカリ事業の営業利益は79.8%減の19億円でした。2026年3月期末の現金は1,766億円です。
いつも見ている8つの基準
配当はどう増えたか

年間1株当たり100円を下限とした配当を実施し、配当性向が50%未満であれば自己株式を取得して総還元性向を50%とする

配当・配当性向の10年表(併合調整後)
| 3月期 | 1株配当(円) | 配当性向(連結) |
|---|---|---|
| 2017 | 48 | 20.6% |
| 2018 | 56 | 20.5% |
| 2019 | 56 | 23.3% |
| 2020 | 56 | 32.7% |
| 2021 | 60 | 30.3% |
| 2022 | 80 | 23.6% |
| 2023 | 80 | 50.6% |
| 2024 | 85 | 47.2% |
| 2025 | 100 | 54.9% |
| 2026 | 100 | 75.5% |
| 2027予想 | 100 | 52.2% |
2017年10月1日に2株を1株にする株式併合がありました。上のグラフと表は現在の株数に合わせた金額です。この10年に記念配当・特別配当はありません。配当性向は1株配当÷1株利益(連結)で計算しています。
出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書2026年3月期決算短信(1株当たり配当額・配当政策・中期経営計画)。
いまの利回りの位置

過去の期末利回りを数字で見る
| 3月期 | 3月末終値(併合調整後) | 期末利回り |
|---|---|---|
| 2017 | 1,956円 | 2.45% |
| 2018 | 2,088円 | 2.68% |
| 2019 | 1,721円 | 3.25% |
| 2020 | 1,230円 | 4.55% |
| 2021 | 2,118円 | 2.83% |
| 2022 | 1,814円 | 4.41% |
| 2023 | 1,797円 | 4.45% |
| 2024 | 2,062円 | 4.12% |
| 2025 | 2,053.5円 | 4.87% |
| 2026 | 2,313.5円 | 4.32% |
出典:各期の1株配当(2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書)と各年3月末の終値(株式併合の調整後)。各期の配当を3月末終値で割り、単純平均しました。現在の利回り・PER・PBRは、2026年9月16日終値2,613円50銭、会社予想の配当100円・1株利益191円63銭、2026年3月期の1株純資産2,701円46銭で計算しています。
業績と財務




業績・財務の10年表
| 3月期 | 売上(億円) | 営業利益(億円) | 営業利益率 | EPS(円) | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 7,430.28 | 1,112.16 | 15.0% | 233.12 | 20.1% | 53.1% |
| 2018 | 8,228.57 | 1,305.80 | 15.9% | 273.49 | 19.6% | 58.0% |
| 2019 | 8,614.56 | 1,057.39 | 12.3% | 240.62 | 15.1% | 61.6% |
| 2020 | 7,860.83 | 816.58 | 10.4% | 171.03 | 10.0% | 64.0% |
| 2021 | 7,328.50 | 878.19 | 12.0% | 197.89 | 10.7% | 62.6% |
| 2022 | 9,185.80 | 1,440.45 | 15.7% | 339.23 | 16.3% | 65.2% |
| 2023 | 10,643.76 | 746.06 | 7.0% | 158.14 | 7.0% | 61.9% |
| 2024 | 10,056.40 | 798.45 | 7.9% | 180.07 | 7.5% | 61.6% |
| 2025 | 10,633.82 | 989.06 | 9.3% | 182.13 | 7.2% | 62.3% |
| 2026 | 10,199.17 | 955.32 | 9.4% | 132.40 | 5.0% | 59.0% |
営業CFと期末の現金(億円)
| 3月期 | 営業CF | 現金同等物 |
|---|---|---|
| 2017 | 1,157.15 | 854.60 |
| 2018 | 1,154.29 | 1,061.78 |
| 2019 | 775.11 | 920.94 |
| 2020 | 999.23 | 972.35 |
| 2021 | 951.06 | 1,483.97 |
| 2022 | 1,086.15 | 1,608.12 |
| 2023 | -162.39 | 1,194.21 |
| 2024 | 1,169.74 | 1,489.70 |
| 2025 | 1,062.44 | 1,388.49 |
| 2026 | 1,145.56 | 1,765.71 |
長期数値の出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書2024年3月期有価証券報告書(主要な経営指標等の推移・連結損益計算書・連結キャッシュ・フロー計算書)。売上・営業利益・現金は読みやすさのため億円に直しています。1株利益は2017年10月1日の株式併合(2株→1株)を調整し、現在の株数に合わせました。2017年3月期の自己資本比率53.1%とEPS233円12銭は、会計基準の改正で遡って直したあとの数値です。
同じ仕事の会社と比べる
苛性ソーダや塩ビを作るソーダ工業の上場企業から、トクヤマと大阪ソーダを並べました。規模も製品の構成も同じではないため、水準の目安としての比較です。
| 2026年3月期 | 東ソー 4042 | トクヤマ 4043 | 大阪ソーダ 4046 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 10,199 | 3,494 | 999 |
| 営業利益率 | 9.4% | 10.6% | 17.6% |
| 自己資本比率 | 59.0% | 49.7% | 76.2% |
| ROE | 5.0% | 10.5% | 9.6% |
| 配当性向 | 75.5% | 38.9% | 22.5% |

出典:各社の2026年3月期決算短信と有価証券報告書。トクヤマの自己資本比率は、2027年3月期第1四半期に企業結合の会計処理が確定したあとの数字です。営業利益率とROEは各社の開示数値から計算しています。
直近の決算と注意点
2027年3月期の第1四半期は、営業利益が前の年の1.9倍になりました。
同じ日に、5月から「未定」としていた通期予想を公表しました。売上1兆1,700億円(+14.7%)、営業利益1,050億円(+9.9%)、純利益590億円(+41.8%)で、1株利益は191円63銭の見込みです。配当予想100円に変更はありません。この四半期から報告セグメントを4区分から5区分へ変更しています。

出典:2027年3月期第1四半期決算短信連結業績予想の修正に関するお知らせ。
決算とIRの記録
出典:2027年3月期第1四半期決算短信連結業績予想の修正に関するお知らせ2026年3月期決算短信代表取締役の異動に関するお知らせ2026年3月期有価証券報告書2009年3月期有価証券報告書。
業績・財務・配当性向は日本基準の連結で統一しました。売上・営業利益・現金は億円に直しています。配当と1株利益は2017年10月1日の株式併合(2株→1株)を調整し、現在の株数に合わせました。
この10年に記念配当・特別配当はありません。配当は中間50円・期末50円の年2回です。