保有銘柄カルテ

住友精化

証券コード 4008
化学東証プライム3月期決算19期 減配なし
配当利回り(今期予想) 4.78%
株価は2026年9月4日終値。業績・配当の実績は2026年3月期。上の利回りは2027年3月期の予想配当70円で計算しています。この70円は、2026年8月6日に48円から引き上げられた金額です。最終更新 2026年9月20日
株価1,465円
1株配当(予想)70円

※1株配当と配当性向は2026年3月期の実績です。1株配当は2026年4月1日の株式分割(1株→5株)にそろえた金額で、会社が実際に払ったのは220円。2027年3月期の予想は70円です。

🐔 いま持っている分
保有株数75株
今期にもらえる配当(税引前・予想)5,250円
買った値段での利回り(今期)7.34%
🏢

どんな会社か

  • 紙おむつの吸水材をつくる。高吸水性樹脂といって、自分の重さの何十倍もの水を抱え込む白い粉です
  • 1944年に設立。肥料を製造・販売する会社として大阪で始まりました。いまは住友化学が株の32.43%を持ちます
  • 売り先は日本の外が大半。第1四半期では日本が23.7%で、いちばん大きいのは中国の33.1%です
  • 売上の8割が吸水性樹脂。もうひとつの柱の機能マテリアルは319億円で、売上の21.5%にあたります
吸水性樹脂をつくる→ 紙おむつメーカーへ売る→ おむつは景気で減らない→ 売り先は世界中
売上の8割が吸水性樹脂 2026年3月期の売上高 1,484億円の中身1,161億円319億円吸水性樹脂 1,161億円(78.3%)機能マテリアル 319億円(21.5%)その他 3億円(0.2%)営業利益は吸水性樹脂115億円(79.7%)、機能マテリアル29億円(20.1%)、その他0.3億円2026年3月期 決算短信のセグメント情報より
もうひとつの柱が機能マテリアルです。化粧品の増粘剤、リチウムイオン電池の材料、半導体をつくるときのガス、酸素や水素を取り出す装置。こちらは319億円で、売上の21.5%にあたります。

工場は兵庫の別府、姫路、千葉の3か所。海外はシンガポール、ベルギー、韓国、中国、台湾にあります。従業員は連結で1,438名。

売り先は日本の外が大半です。第1四半期の売上403億9,700万円のうち、日本は95億7,300万円で23.7%。いちばん大きいのは中国の133億9,100万円で33.1%にあたります。

💰

「自己資本を減らす」と言って、配当を1.6倍にした

今期の配当は48円の予定だった。それが70円になった 1株あたり年間配当(円・株式分割を調整した金額)020406080151720182019202020212422402340244025442670+224827予各年3月期。27予=2027年3月期の会社予想(2026年8月6日修正後)。2026年4月1日の1株→5株の分割にそろえています実績今期の期初予想方針変更で増えたぶん
2017年3月期の15円から2026年3月期の44円へ。10年で2.93倍、減った年は1回もありません。
いちばん右が2027年3月期です。5月に会社が出した予想は48円。それが8月6日に70円へ変わりました。下に敷いた48円が当初の予想、上に乗っている22円が今回増えたぶんです。

2026年8月6日、会社は4つの資料を同じ日に出しました。第1四半期の決算短信。未定にしていた通期業績予想。2045年に向けた長期ビジョンと新しい中期経営計画の骨子。4つめが配当方針の変更です。

変更の中身はこうです。

(変更前)配当性向30%以上を基準に、安定的な配当実施および今後の事業展開に備えるための内部留保などを勘案して決定する

(変更後)原則として配当性向30%以上かつ株主資本配当率(DOE)4.5%以上を基準に、安定的な配当の実施および今後の事業展開に備えるための内部留保などを勘案して決定する

DOEは、配当の総額を株主資本で割った数字です。利益ではなく会社に貯まっている自己資本に対して、何%配るかを見ます。利益が減った年でも配当を落としにくくなる指標です。

DOEはどれくらい上がるのか
2026年3月期の配当総額28億6,300万円
前期末の株主資本838億円
これまでの実質DOE3.42%
新しい基準4.5%以上

もうひとつ、同じ日の中期経営計画の骨子にこう書かれています。

現状の当社グループの資本構成は自己資本の比率が高く、あるべき自己資本の水準の検討と資本規律の確保に向けた取り組みが急務であると認識しており(中略)自己資本比率の中期的な管理範囲を50〜60%に設定したうえで、現預金活用の効率化と機動的な資金調達により、規律ある成長投資と株主還元の更なる充実を進めます

いまの自己資本比率は67.8%です。会社はそれを50〜60%まで下げると言っています。減らしたぶんは成長投資と株主還元に回る、という順番です。DOEの導入はその一部にあたります。

市場の反応は速いものでした。発表前日の終値1,259円が、当日1,446円、翌日1,542円。2日で22.5%上がっています。

📉

今期は減益予想。それでも増配する

2027年3月期の会社予想(2026年8月6日公表)
売上高1,650億円(前期比 +11.2%)
営業利益110億円(前期比 −24.0%)
経常利益112億円(前期比 −26.6%)
純利益80億円(前期比 +4.2%)
1株利益(EPS)124.46円
配当性向(予想)56.2%

減益の理由は開示にこう書かれています。

営業利益および経常利益は、シンガポール拠点での吸水性樹脂の製造設備増設に伴う固定費の増加などにより、減少する見通しです

設備を増やせば、動かす前から減価償却費と人件費がかかります。純利益だけが増える予想になっているのは、前期にあった特別損失が減るからです。

足元は好調です。第1四半期の売上高は403億9,700万円で前年同期比13.6%増、営業利益は34億5,200万円で47.5%増。純利益は3.1倍の32億6,300万円になりました。通期の純利益予想80億円に対して、3か月で40.8%まで来ています。

📊

ディフェンシブか、景気敏感か

管理上の分類景気敏感。原料と市況で利益が大きく動く(リーマン・ショックの年は営業利益58.1%減)。ただし配当は据え置いた

※原料はナフサです。原燃料の値段と為替で利益は動きます。今期の前提は1ドル157円、ナフサ1キロリットル86,700円。第1四半期の実績はナフサ118,900円で、前年同期の66,300円から1.8倍に上がっていました。会社はこの上昇分を販売価格に転嫁したと書いています。

📈

いまの利回りは高いのか

各年3月末の株価と、その期の配当で計算した配当利回り(%・株式分割の調整後)01234510年平均 3.24%1.58171.96182.46193.76202.48213.88224.62233.93244.00253.7226いま 4.78%いま各年3月期末・株式分割の調整後 / 「いま」は2026年9月4日終値1,465円と今期予想配当70円
10年の平均は3.24%で、いまの予想利回り4.78%は、この10年のどの年度末よりも高い水準です。2017年3月期の1.58%から2023年3月期の4.62%まで上がり、そこは4%前後で落ち着いています。株価が上がったのに利回りも上がったのは、配当のほうがそれ以上に増えたためです。株価と配当は、2026年4月1日の株式分割(1株→5株)にそろえています。
📊

業績と財務

売上は10年で1.5倍。利益率は行き来している売上高(億円)04008001,2001,6009891,0591,0969971,0331,1561,4301,4301,4761,484営業利益率(%)6.08.511.010.79.28.37.89.87.07.36.77.39.717181920212223242526各年3月期
売上高は989億円から1,484億円へ、10年で1.5倍になりました。営業利益率のほうは上がり続けてはいません。2017年3月期の10.7%からいったん2024年3月期の6.7%まで下がり、そこから2年で9.8%へ戻しました。原燃料の値段が下がった年に利益率が上がる形です。
1株利益は年によって大きく振れる1株利益(EPS)(円)0357010514083.297.18.862.1103.285.8127.491.890.1117.5124.5ROE(%)0.06.012.0一般的な合格ライン 8%10.210.90.96.710.47.810.46.86.37.8会社予想1718192021222324252627予各年3月期
1株利益は83円22銭から117円48銭になりました。ただし途中は大きく振れています。2019年3月期は8円76銭、ROEは0.9%まで落ちました。2023年3月期に127円36銭まで戻ったあと、2025年3月期は90円12銭です。2027年3月期の会社予想は124円46銭。ROEは10年のうち合格ラインの8%を上回ったのが4年で、直近4年は6.3%から7.8%にとどまります。金額は2026年4月1日の株式分割(1株→5株)の調整後です。
PER(予想)11.8倍
PBR0.91倍
自己資本比率67.8%
配当性向37.3%

PERとPBRは2026年9月4日終値。自己資本比率と配当性向は2026年3月期の実績です。

2026年3月期は売上高1,483億5,400万円、営業利益144億6,400万円、純利益76億7,700万円でした。営業キャッシュフローは174億8,000万円です。

営業キャッシュフローは2008年3月期から19年間ずっとプラスです。有利子負債は175億円で、自己資本1,036億円に対する比率は16.9%。手元の現金は180億円あります。

自己株買いも続けています。2026年5月に発行済株式の7.54%にあたる527万5,195株を消却し、さらに84万株を上限に買い付けて10月30日に消す予定です。

長期の目標として、会社は2030年度に売上2,000億円・営業利益175億円・ROE10%を掲げています。ただし、そこに至るKPIと具体策は2026年11月の公表待ちです。

吸水性樹脂をつくる3社住友精化日本触媒三洋化成工業
売上高1,484億円3,999億円1,279億円
営業利益率9.75%4.38%7.83%
ROE7.8%4.2%9.8%
自己資本比率67.8%68.4%81.4%
配当性向37.3%100.8%24.0%
配当利回り(予想)4.78%5.41%3.21%
10年で減配した回数0回1回0回
秘書のリツ1社だけ見ても、その数字が高いのか低いのか分からないよね。3社並べるとこの業種の「普通」が見えてくる。自己資本比率は3社とも67〜81%。化学メーカーは自己資本を厚く持つのが普通だから、67.8%は特別に高いわけじゃない。むしろ3社でいちばん低いんだ。目を引くのは営業利益率9.75%のほう。3社でここだけ9%を超えているよ。

※3社とも3月期決算で、数字は2026年3月期の実績です。三洋化成工業は経常利益123億円に対して純利益156億円と、特別な利益が乗っている期にあたります。ROE9.8%と配当性向24.0%は、そのぶん割り引いて見る必要があります。日本触媒は2021年3月期に赤字となり、配当を45円から22円50銭へ減らしています。

⭐ 強み
  • 増えた配当と方針。2026年に、利益だけでなく株主のお金も目安にして配る方針を加えました。株主のお金は利益ほど上下しないので、利益が落ちる年でも配当を下げにくくなります。2008年3月期から減配はありません。
  • 資本の使い方。会社自ら「自前のお金が多すぎる」と認め、ためすぎたお金を成長投資と株主還元に回すと決めました。今期の増配も、利益が増えたからではなく、このお金の使い方を変えたことが元手です。
  • 景気で減らないおむつ。紙おむつは、赤ちゃん用も大人用も、不況でも使う量がほとんど変わりません。その吸水材をつくる3社のなかで、利益率がいちばん高い会社です。
  • 財務の耐久力。本業のお金の出入りは19年続けてプラスで、手元の現金は借金を上回ります。リーマン・ショックの年も、利益が大きく落ちた年も配当を据え置けたのは、この余力があったからです。
🔵 懸念点
  • 割合で増える配当。今期の増配は、利益が増えたからではなく、配る割合を上げたためです。今期はシンガポールの工場を増やす費用で減益の予想です。株主のお金を目安にした下限がある以上、利益が落ちた年ほど配当の負担は重くなります。
  • 1事業への集中。売上と利益の8割近くが吸水性樹脂で、紙おむつの需要がそのまま効きます。売り先の4分の3以上が海外で、いちばん大きいのは中国なので、中国の景気や競争の影響を受けやすい会社です。
  • 原燃料と為替。原料のナフサは原油から作られ、値段が大きく動きます。今期の出だしは会社の想定を大きく上回りました。会社は値上げで転嫁したと説明していますが、転嫁が遅れれば利益を削ります。
🔎

買った条件は、いまも成立しているか

◎ 基準を大きく上回っている、または会社が方針として明文にしている / ○ 基準を満たしている / △ 基準は外れているが、理由が説明できる / × 基準を外れていて、持っている理由が揺らぐ
○
ちゃんと稼げているか
営業利益率9.75%。同じ表に並べた2社より高く、3社でここだけ9%を超えています。ROEは7.8%で真ん中。売上は10年で1.5倍になりました。ただし利益率は上がり続けているわけではなく、10年で6.7%から10.7%の間を行き来しています。今期は営業利益が24.0%減る予想です。10%の目安には届いていません。
◎
簡単には潰れない会社か
自己資本比率67.8%、有利子負債比率16.9%、現金180億円。営業キャッシュフローは2008年3月期から19年連続でプラスです。目安の60%を超えています。ただし化学メーカーは3社とも67〜81%で、この業種では珍しくない水準です。会社自身が「高すぎる」として50〜60%へ下げる方針を出した点は、下の懸念点に書いたとおりです。
◎
増配の意思があるか
確認できた2008年3月期から19期、1度も減配していません。リーマン後の減益も、減損で1株利益が8円76銭まで落ちた2019年3月期も据え置きました。そのうえで2026年8月に「配当性向30%以上かつDOE4.5%以上」を配当方針として文書に書き込んでいます。
○
無理をしていないか(配当性向)
2026年3月期の実績は37.3%で、無理のない目安とされる30〜50%の中にあります。今期の予想は56.2%で目安を出ますが、減益予想の年にDOEの下限を守るためで、理由は説明がつきます。DOEを下限にした以上、利益が大きく落ちた年は配当性向が跳ねます。2019年3月期には228.2%になった実績があります。
2026年9月チェック財務と増配の意思は基準を大きく上回る。稼ぐ力と配当性向は基準の中 → 長期保有を継続
🗓

決算とIRの記録

大きな変化があったときだけ、ここに足していきます。買い増しや売却をしたときは、その理由もここに書きます。

2026年8月6日 配当方針の変更(DOE導入)と、通期予想の公表
同じ日に4つ。配当方針に「DOE4.5%以上」を加えたこと。今期配当を48円から70円へ引き上げたこと(中間35円・期末35円)。5月に未定としていた通期予想を公表したこと(売上1,650億円・営業利益110億円)。自己資本比率の管理範囲を50〜60%に設定したこと。株価は前日の1,259円から2日で1,542円へ。→ 増配の原資は利益ではなく、資本の使い方を変えたこと
2026年8月6日 第1四半期は大幅増益
売上高403億9,700万円(前年同期比13.6%増)、営業利益34億5,200万円(同47.5%増)、純利益32億6,300万円(同3.1倍)。吸水性樹脂は売上318億6,800万円で14.1%増、機能マテリアルは84億6,800万円で11.9%増。通期の純利益予想80億円に対する進捗は40.8%。→ 減益予想は下期の固定費増を見込んだもので、足元は伸びている
2026年5月12日 2026年3月期の着地と、自己株式の消却
売上高1,483億5,400万円(前期比0.5%増)、営業利益144億6,400万円(同35.0%増)、純利益76億7,700万円(同28.8%増)。年間配当は220円で、前期の200円から増配(分割調整後で40円→44円)。同じ日に発行済株式の7.54%にあたる527万5,195株の消却と、84万株を上限とする追加の自己株買いを決議しました。今期の業績予想は「中東情勢の影響を算定できない」として未定。→ 予想を出せない状況でも配当だけは48円を示した
2026年4月1日 1株を5株に分ける株式分割
2026年2月9日の取締役会で決議した分割が効力を持ちました。1株が5株に。株主優待の基準も変わり、500株以上を半年以上持っている株主にQUOカード1,000円分となりました。→ 75株なので優待の対象外。配当だけを見ていく
2026年2月9日 過剰請求の賠償で特別損失32億円
2025年3月期にグループ会社で起きたお取引先への製品代金の過剰請求について、先方に生じた逸失利益の賠償として32億900万円を特別損失に計上しました。2025年11月には12億8,400万円を見込んでいたので、そこから積み増した形です。→ 2026年3月期の純利益が営業利益の伸びほど増えなかった理由のひとつ
2026年9月7日 このページについて
カルテを作成し、1回目のチェックを行いました。次に見るのは2026年11月です。理由は2つ。新しい中期経営計画の詳細が11月に公表されることと、中間決算で下期の固定費増がどう出るか。中間配当35円の権利は9月30日で確定します。
⚠ 注意事項
このページは自分の投資記録として情報をまとめたもので、売買の推奨を目的としたものではありません。将来の運用成果を保証するものでもありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

数字は2026年9月4日時点。出典=会社の開示資料、株探、IR BANK。業績・財務・配当の実績は各年の「決算短信」(2009年5月〜2026年5月12日発表分)、今期の実績と予想は「2027年3月期 第1四半期決算短信」および「2027年3月期 通期業績予想に関するお知らせ」(いずれも2026年8月6日)、配当方針は「配当方針の変更(DOE導入)および配当予想の修正に関するお知らせ」(2026年8月6日)、自己資本比率の方針と2030年度目標は「2045年に向けた長期ビジョン」ならびに「新中期経営計画(2026〜2030年度)の骨子」の策定(2026年8月6日、8月12日訂正)、株主構成・従業員数・株主優待は「第113回定時株主総会招集ご通知」(2026年6月4日)、特別損失は「特別損失の計上に関するお知らせ」(2026年2月9日)によります。株価は株探の月足データ(各年3月末終値)と2026年9月4日終値。
※1株配当は株式分割・株式併合を調整した数字で並べています。2016年10月1日に5株を1株にする併合、2026年4月1日に1株を5株にする分割があり、この2つは打ち消し合うため、2016年9月以前の実際の金額とそろっています。会社が実際に払った金額は、2026年3月期が220円、2025年3月期が200円です。
※配当性向とDOE(純資産配当率)は、各年の決算短信に会社が記載した数値をそのまま使っています。1株配当を1株利益で割った計算とは一致しません。
※新しい配当方針のDOEは「配当総額÷前期末株主資本」で、決算短信の「純資産配当率」とは分母が違います(株主資本は純資産からその他の包括利益累計額を除いた金額)。本文の3.42%は、2026年3月期の配当総額28億6,300万円を前期末の株主資本838億円で割った数字です。
※配当利回りの推移は、各年3月末の終値とその期の1株配当から計算しています。「いま」は2026年9月4日終値1,465円と今期予想70円によります。
※同業比較の2社は、同じ吸水性樹脂を手がけていて決算期もそろっているものを選びました。3社とも2026年3月期・連結の数字です。
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