システナ
どんな会社か
- 独立系のIT企業。ソフトの開発・検証から、IT機器の販売、システムの運用まで、企業のITをまとめて引き受けます
- 1983年に横浜で創業。ヘンミエンジニアリングとして設立し、2010年にカテナを合併して今の社名になりました
- 車・通信・金融に強い。車載ソフト、次世代通信の開発支援、生損保・銀行の基幹システムを手がけます
- 売上の4割弱が機器販売。パソコンやサーバーの販売とクラウド導入が37.7%、IT運用の代行が23.2%、通信・AIの開発支援が16.2%です

いまの売上を押し上げているもの
2026年3月期は、Windows 10のサポート終了にともなうパソコンの入れ替え案件が第3四半期まで集中し、機器販売の売上高が伸びました。会社は2027年3月期第1四半期の決算短信で、この特需は一巡したと書いています。
出典:2026年3月期有価証券報告書(沿革・事業の内容・セグメント情報)。売上高は外部の顧客への金額で、その他の事業(8.42億円)は省いています。売上高の10%以上を占める顧客はいません。
ディフェンシブか、景気敏感か

出典:2009年10月期・2021年3月期の有価証券報告書。当時の配当はリーマン期が2,400円、2021年3月期が20円で、いずれも分割前の実額です。10年で売上高が前の年を下回ったのは2021年3月期の1回でした。分類は管理シートに合わせています。
強みと懸念点
- 同業より高い利益率。売上は小さくても利益の厚い車載ソフトや、通信・AIの開発支援を育ててきました。そのため利益率は10年で2倍になり、独立系の同業2社を上回ります。
- 大口顧客に頼らない売上。売上の1割を超える顧客はいません。事業も機器販売、IT運用の代行、車載、通信、金融などに分かれていて、1社や1つの業界の調子が落ちても全体は崩れにくい形です。
- ITをまとめて引き受ける。開発・検証から機器の納入、運用の代行まで、企業のITをまとめて引き受けます。1つの仕事が次の開発案件につながるので、お客さんとの付き合いが続きます。
- 10年減配なし。リーマン・ショックの年もコロナの年も、配当は減らしませんでした。利益の40%以上を配る目標で、利益が伸びた分だけ配当も増えてきました。
- 減益の中の増配計画。今期は減益の予想なのに、配当は大きく増やす計画です。ただ会社の約束は「利益の40%以上を配る」だけで、減らさないとは言っていません。利益が落ち込む年には、配当も一緒に下がるおそれがあります。
- パソコン特需の一巡。前の期はWindows 10のサポート終了で、企業がいっせいにパソコンを買い替え、機器販売が伸びました。買い替えは一度済めば数年は起きないため、今期の出だしは売上がほぼ横ばいです。
- 技術者の確保と人件費。この会社が売っているのは、技術者の手です。社員は10年で倍に増え、会社も技術者不足と人件費の上昇を挙げています。人件費が上がるなかで、今の利益率を保てるか。
従業員は10年で2,585人から5,301人になりました。
いつも見ている8つの基準
配当はどう増えたか

配当・配当性向の10年表(分割調整後)
| 3月期 | 1株配当(円) | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2017 | 2.25 | 40.1% |
| 2018 | 2.875 | 31.7% |
| 2019 | 4 | 34.0% |
| 2020 | 5 | 35.6% |
| 2021 | 5 | 38.9% |
| 2022 | 6 | 38.8% |
| 2023 | 8 | 42.4% |
| 2024 | 10 | 53.6% |
| 2025 | 12 | 51.8% |
| 2026 | 14 | 44.2% |
| 2027予想 | 18 | 60.5% |
連結配当性向40%以上を目標に積極的に実施してまいります。
2026年3月期の有価証券報告書の配当政策です。安定配当の継続をベースに、経営成績に応じて配分することを基本方針にしています。会社は目標とする経営指標の1つめに「安定した高配当」を挙げています。ただし、配当を減らさないという約束(累進配当)はしていません。自社株買いは、2024年5月の決議で2,500万株を79億6,200万円で買い、2025年3月期に同じ株数を消却しました。 株式分割は2018年6月と2021年12月に1株→4株を2回。グラフと表は現在の株数に換算しています。2017〜2026年3月期に記念配当・特別配当はありません。配当性向は1株配当÷1株利益(連結)で計算しました。
出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(1株当たり配当額・配当政策)2026年3月期決算短信。
いまの利回りの位置

過去の期末利回りを数字で見る
| 3月期 | 期末利回り |
|---|---|
| 2017 | 2.10% |
| 2018 | 1.05% |
| 2019 | 1.33% |
| 2020 | 1.36% |
| 2021 | 0.90% |
| 2022 | 1.39% |
| 2023 | 2.76% |
| 2024 | 3.68% |
| 2025 | 3.32% |
| 2026 | 3.39% |
出典:各年の有価証券報告書(配当)と、株式分割を調整した各年3月末の終値。各年の配当を3月末終値で割り、単純平均しました。2018〜2022年3月期は期末の株価が1株利益の25.6〜43.1倍で、利回りが低く出ていた時期です。現在の利回り・PER・PBRは、2026年9月11日終値425円、会社予想配当18円・EPS29.74円、2026年3月末のBPS110.82円から計算しています。
業績と財務




業績・財務の10年表
| 3月期 | 売上(億円) | 営業利益(億円) | 営業利益率 | EPS(円) | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 463 | 36.9 | 8.0% | 5.61 | 15.7% | 58.2% |
| 2018 | 543 | 51.7 | 9.5% | 9.08 | 22.4% | 59.5% |
| 2019 | 597 | 69.0 | 11.6% | 11.75 | 24.6% | 59.9% |
| 2020 | 646 | 81.6 | 12.6% | 14.06 | 25.5% | 63.0% |
| 2021 | 609 | 80.1 | 13.2% | 12.84 | 20.6% | 65.9% |
| 2022 | 653 | 91.1 | 14.0% | 15.47 | 21.6% | 68.5% |
| 2023 | 745 | 98.4 | 13.2% | 18.89 | 22.9% | 69.9% |
| 2024 | 769 | 97.1 | 12.6% | 18.67 | 20.0% | 70.5% |
| 2025 | 836 | 120.7 | 14.4% | 23.17 | 24.0% | 62.7% |
| 2026 | 944 | 153.7 | 16.3% | 31.65 | 31.4% | 64.9% |
営業CFと期末の現金(億円)
| 3月期 | 営業CF | 現金同等物 |
|---|---|---|
| 2017 | 22.4 | 75.9 |
| 2018 | 43.8 | 93.6 |
| 2019 | 70.3 | 141.8 |
| 2020 | 48.3 | 152.2 |
| 2021 | 72.1 | 188.8 |
| 2022 | 55.4 | 219.6 |
| 2023 | 76.5 | 247.9 |
| 2024 | 90.4 | 300.9 |
| 2025 | 79.8 | 214.6 |
| 2026 | 132.8 | 298.2 |
長期数値の出典:2026年3月期有価証券報告書2021年3月期有価証券報告書(主要な経営指標等の推移・連結キャッシュ・フロー計算書)と2026年3月期決算短信。EPSは2018年6月と2021年12月の株式分割を調整し、有価証券報告書の数字を4で割って現在の株数にそろえました。
同じ仕事の会社と比べる
同じ独立系のSIerである、クレスコとSRAホールディングスを並べました。
| 独立系SIer 3社 | システナ | クレスコ | SRA HD |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 944億円 | 647億円 | 533億円 |
| 営業利益率 | 16.3% | 10.2% | 15.5% |
| ROE | 31.4% | 16.4% | 17.4% |
| 自己資本比率 | 64.9% | 69.9% | 64.7% |
| 配当性向 | 44.2% | 49.3% | 45.1% |
| 予想配当利回り | 4.24% | 4.59% | 4.69% |

※3社とも2026年3月期の連結実績(日本基準)です。事業の構成は同じではないため、規模・収益性・財務の目安として並べています。予想配当利回りは2026年9月11日終値と各社の今期の予想配当(システナ18円・クレスコ80円・SRA HD 220円)で計算しました。クレスコの80円には上場30周年の記念配当10円が入っています。
出典:各社の2026年3月期決算短信。株価は2026年9月11日終値です。
直近の決算と注意点
2027年3月期第1四半期は増収・増益でした。
2026年3月期は売上高が12.9%、営業利益が27.3%増えました。今期の会社予想は売上高980億円(3.8%増)、営業利益159億6,000万円(3.9%増)、純利益106億3,000万円(6.0%減)です。第1四半期は売上高5.5%増、営業利益9.0%増で、営業利益の進み具合は通期予想の24.0%でした。営業キャッシュフローは10年続けてプラスで、2026年3月末の現金等は298億円です。自己資本比率が2025年3月期に70.5%から62.7%へ下がったのは、自社株買いをした年で純資産が56億円減ったためです。
出典:2027年3月期第1四半期決算短信2026年3月期決算短信2026年3月期有価証券報告書。
決算とIRの記録
数字は2026年9月11日時点。主な出典はシステナの2026年3月期有価証券報告書(第44期)、2021年3月期有価証券報告書(第39期)、システムプロの2009年10月期有価証券報告書(第27期)、2026年3月期決算短信、2026年3月期決算説明資料、2027年3月期第1四半期決算短信、および各適時開示です。営業利益は各年の決算短信・有価証券報告書の連結損益計算書によります。過去の配当利回りは各年3月末の終値で計算しました。同業比較はクレスコとSRAホールディングスの2026年3月期の連結実績によります。
※2018年6月1日と2021年12月1日に、それぞれ1株を4株にする株式分割をしています。グラフの1株配当・1株利益・株価は今の株数にそろえた金額です。本文の2009年10月期と2021年3月期の配当は分割前の実額です。
※2017〜2026年3月期に記念配当・特別配当はありません(有価証券報告書と決算短信で確認)。
※表示金額は読みやすさのため億円単位に丸めています。