ジャックス(8584)は株価で負けているが、
配当がちょうど埋めている
持っている64銘柄のうち、実際に減配されたことがある数少ない1つがジャックスです。
2025年3月期に、配当が220円から190円へ下がりました。翌年には200円まで戻っています。それだけ見れば「一度つまずいて、持ち直した会社」に見えます。
ですが決算を最初から追っていくと、減配よりも大きな変化が起きていました。
この記事は、2026年3月期の決算を読んで何を考えたかの記録です。会社の中身や10年の数字は銘柄カルテにまとめてあり、決算が出るたびに書き換えています。
| いつも見ている8つ | この会社 | |
|---|---|---|
| 売上高は伸びているか | 1,923億円(+0.7%) 今期予想はほぼ横ばい | ○ |
| 営業利益率は10%以上か | 10.6% 今期予想は5.7% | ○ |
| 1株利益(EPS)は伸びているか | 380.28円(2年連続で減) | × |
| 営業キャッシュフローは黒字か | 231億円(12年ぶりの黒字) 信販は基準の外 | なし |
| 配当は増えているか (減っていないか) | 10年で75円→200円 減配は1回だけ(2025年3月期) | △ |
| 配当性向は30〜50%か | 52.6% 今期予想は89.5% | △ |
| 自己資本比率は40%以上か | 7.9% 信販は基準の外 | なし |
| 手元の現金は増えているか | 1,446億円(2年で429億円減) | × |
△のところ①:10年で一度だけ減配した
配当は10年で75円から200円へ、2.7倍になりました。据え置きが1回あるだけで、あとは増やし続けてきた会社です(年ごとの推移はカルテにあります)。
その流れが切れたのが2025年3月期です。利益が落ちて、220円を保てませんでした。200円に戻したとはいえ、ピークにはまだ届いていません。
ただし220円のうち10円は、創立70周年の記念配当でした。毎年出るものではありません。除いた普通配当は210円なので、実際の下がり幅は20円、率にすると9.5%です。
それでも減配は減配です。会社の開示もタイトルが「配当予想の修正(減配)」でした。
この減配は、自分の口座でも受け取っています。
| 入金日 | 1株あたり | 受取額 |
|---|---|---|
| 2024年6月 | 120円 | 360円 |
| 2024年11月 | 90円 | 1,530円 |
| 2025年6月 | 100円 | 3,100円 |
| 2025年11月 | 100円 | 3,100円 |
| 2026年6月 | 100円 | 3,100円 |
買い足していた時期なので受取額は増えていますが、1株あたりの期末配当は120円から100円に下がりました。2024年11月に入った90円が、減配後の最初の1回です。
×のところ①:稼ぐ力が落ちている
- 2024年3月期 685.13円
- 2025年3月期 536.11円
- 2026年3月期 380.28円
- 2027年3月期 223.42円(会社予想)
1株利益が2年で半分近くまで落ちて、今期の予想はさらにそこから4割減です。
1株利益223.42円に配当200円を出すと、配当性向は89.5%。稼いだお金のほとんどを配当に回す計算です。手元の現金も1,875億円から1,446億円へ、2年で429億円減りました。
×のところ②:株数が3割増えた
いちばん驚いたのはここでした。
直近の第1四半期は、純利益が前の年より5.7%減っただけなのに、1株利益は26.8%落ちています。株数を割り戻したら、理由が分かりました。1年で3,476万株から4,477万株へ、28.8%増えていました。
2025年9月の、三菱UFJ銀行への第三者割当増資でした。同行はいま40%を持つ株主になっています。
減配ではありません。ただ、同じ利益をより多くの株で分け合うことになりました。配当性向が89.5%まで上がった背景には、業績の悪化とこの希薄化の両方があります。
減配のニュースは目に入ります。増資は、そうでもありません。配当の記録だけ追っていたら、私はこれに気づいていませんでした。
減益の正体は、金利だった
営業利益が46%減る見通しというのは、落ち方が急です。決算説明資料に内訳がありました。
- 営業収益 +1億円
- 販売管理費 +29億円
- 貸倒関連費用 △9億円
- 金融費用 +78億円
費用の増加99億円のうち、78億円が金融費用。この会社が資金を借りるときに払う利息です。日本の金利が上がったぶん、調達コストが重くなりました。
会社は2026年5月に、中期経営計画の2年目以降を一部見直しています。第1四半期の上期計画に対する進捗は101.1%ですが、これは見直したあとの計画に対する進捗です。
同業と並べてみる
自己資本比率7.9%だけを見ると危なく見えます。同じ信販のオリコは8.8%、クレディセゾンは15.4%。低いほうではあるものの、この業種では特別な数字ではありませんでした(3社を並べた表はカルテにあります)。
本業も見ておきます。第1四半期の営業収益は、国内のクレジットが+8.9%、ファイナンスが+7.3%。減っているのは海外で、インドネシアの取扱高が38億円から10億円へ7割以上縮んでいます。損失を止めるために絞っている数字に見えます。
営業キャッシュフローも同じです。信販は貸すお金が増えるほどマイナスになるので、黒字か赤字かで良し悪しは決められません。この会社は12年続いたマイナスが今期プラスに転じましたが、同じ期に借入を411億円返しています。貸す量が増えていない裏返しとも読めます。
貸し倒れも確かめました。未収債権率0.42%、貸倒償却率0.06%で、どちらも前の年と同じです。焦げついてはいません。
それで、どう判断したか
売らないことにしました。
本来なら外れる銘柄です。1株利益が右肩上がりで、減配していないこと。この2つを持っている株を選ぶ基準にしてきたのに、ジャックスはどちらも欠けています。
それでも残すのは、悪くなっている原因が金利だからです。商売そのものが壊れたわけではなく、国内の本業は伸びていて、貸し倒れも増えていない。金利は自分たちで動かせないぶん、いつか反対に振れることもあります。
増資も、1株の取り分を薄めた一方で、自己資本比率を6.5%から7.9%まで押し上げました。悪くなった面だけを見て売るのは、片側しか見ていない気がします。
私が持っているのは46株です。買った平均は4,092円、いまは3,850円。含み損は11,163円で、率にすると5.9%です。
この株から受け取った配当は、2024年6月からの5回で11,190円でした。NISAなので税金は引かれていません。
差し引き27円のプラス。株価で負けたぶんを、配当がちょうど埋めています。たまたま今そうなっているだけで、株価が動けば明日には逆になります。ただ、配当を目当てに買った以上、株価が下がったことは売る理由になりません。売る理由になるのは、配当が続かなくなったときだけです。
これから何を見るか
- 11月の中間決算で、金融費用の増え方が落ち着くか
- DOEが3.0%を保てるか。ここが割れると200円の根拠がひとつ消える
- 三菱UFJ銀行の持ち株比率が、40%からさらに動くか
3つ目がいちばん気になっています。40%を持つ相手ができたということは、これから先の方針がその相手の考えに沿って決まっていくということでもあります。それが配当にどう出るかは、まだ分かりません。
減配した会社を持ち続けるのは、正直なところ落ち着かないものです。ですが慌てて売って、あとから戻したくなるほうが自分には向いていない。しばらくは配当を受け取りながら、決算のたびに数字を見ていきます。
- 第三者割当増資の時期 2025年3月→2025年9月。2025年3月14日は三菱UFJ銀行と資本業務提携契約を結んだ日で、払込が完了したのは同年9月12日でした
- 増資前の自己資本比率 6.1%→6.5%。6.1%は2024年3月期の数字で、増資の直前にあたる2025年3月期は6.5%でした
- 1株利益 2025年3月期536.08円→536.11円、2026年3月期380.25円→380.28円。決算短信の値に直しました
- 期中平均株式数 4,476万株→4,477万株(44,777,580株)