銘柄分析

ニホンフラッシュ(7820)は含み損19%。
売らずに見続けると決めた理由

2026年8月27日 / 東証プライム・その他製品(内装ドア)

持っている64銘柄のなかで、いちばん含み損が大きい銘柄です。

買った値段は1株898円。いまは721円です。108株持っているので、含み損は19,116円。買値から19.7%下がっています。

おまけに、20日ほど前に出た直近の決算(4〜6月)は赤字でした。それでも私は売りません。先に結果を出します。

7820 ニホンフラッシュ(内装ドア)/2026年3月期の実績
配当利回り5.0%
予想配当性向91%
自己資本比率71.7%
株価721円・配当利回り5.0%・PER18.2倍・PBR0.51倍は2026年8月27日時点。業績は2026年3月期(2026年5月15日発表)と、第1四半期(2026年8月10日発表)の数字です。
いつも見ている8つこの会社
売上高は伸びているか234.6億円(-2.2%)
今期も減収の予想
×
営業利益率は10%以上か7.4%(ピーク時は14%台)×
1株利益(EPS)は伸びているか62.21円(ピークの4割)×
営業キャッシュフローは黒字か17.5億円(黒字を継続)
配当は減っていないか36円(5期すえ置き。
赤字の年も維持)
配当性向は30〜50%か実績57.9%・今期予想91%×
自己資本比率は40%以上か71.7%(借金ほぼゼロ)
手元の現金は増えているか55.9億円(3年連続で増)
私の判断:売らない。ただし前回のMS-Japanと同じく、「見ている銘柄」に置きます。

◎が3つ、○が1つ、×が4つ。稼ぐ力は明らかに細っているのに、財布はむしろ厚くなっている。前回のMS-Japanとは逆の形です。

ここから先は、この表の中身を1つずつ見ていきます。

どんな会社か

徳島県にある、内装ドアのメーカーです。マンションやホテルの部屋の中のドアや枠を作って納めています。

この会社を語るうえで外せないのが中国です。中国の大手マンション開発会社に内装ドアを納めることで大きく成長してきました。売上のピークは2022年3月期の331億円。中国のマンション建設ラッシュに乗った数字です。

×のところ:中国とともに沈んでいる

そのラッシュが終わりました。中国の不動産不況はニュースで見るとおりです。売上と利益は、ピークからこうなっています。

売上高純利益
2022年3月期331億円38.4億円
2023年3月期273億円18.8億円
2024年3月期259億円13.3億円
2025年3月期240億円-27.9億円
2026年3月期235億円14.2億円
2027年3月期(会社予想)210億円9.0億円

予想どおりなら5期連続の減収です。1株利益もピークの153円から、今期予想は39.6円まで下がります。

2025年3月期の大赤字の中身

-27.9億円の赤字は、本業の損ではありません。中身は2つです。

  1. 中国の不動産大手・世茂集団への売掛金が回収できない見込みになり、貸倒引当金を24.1億円積んだ
  2. 代金の代わりに受け取った中国の不動産の価値を、11.5億円切り下げた
秘書のツミキ 貸倒引当金は、売った相手からお金を回収できなそうなときに、先回りして損として計上しておくお金です。取りはぐれが確定したわけではありませんが、「回収は難しい」と会社自身が見込んだ、という意味になります。

売った相手がお金を払えない。払えない分を不動産で受け取ったら、その不動産も値下がりした。中国の不況を、二重にかぶった決算でした。

直近の3か月は赤字転落

2026年8月10日に出た第1四半期(4〜6月)です。

2026年4〜6月金額前年同期
売上高36.1億円-11.6%
営業利益-1.4億円赤字拡大
純利益-1.8億円黒字→赤字

この会社は例年、年度の前半が弱く後半に稼ぐ型なので、3か月の赤字だけで慌てることはしません。それでも、前の年の同じ3か月より1割以上売上が減っているのは軽い話ではありません。

◎のところ:それでも財布は厚くなっている

ここからが、この銘柄を売らない理由です。

まず配当。36円を5期続けて維持しています。-27.9億円の大赤字を出した年も、減らしませんでした。

1株配当
2021年3月期28円
2022年3月期32円
2023年3月期〜2026年3月期36円
2027年3月期(会社予想)36円
秘書のツミキ さらに前の2020年3月期は55円で、減配に見えます。ですが2020年4月に1株を2株に分ける株式分割があったので、いまの1株はそのときの半分です。ならして比べると55円→56円相当で、減っていません。減配かどうかは、分割をならして見ないと間違えます。

次に、その配当を出し続ける体力です。

2026年3月期のお金の出入り
営業キャッシュフロー17.5億円
自由に使えるお金(フリーCF)14.1億円
配当の支払い(概算)約8億円

本業で稼いだ現金の範囲に、余裕をもって収まっています。貯金を取り崩して配っている状態ではありません。

実際、手元の現金は41億円→46億円→56億円と、この3年でむしろ増えています。借金はほぼゼロ。自己資本比率は71.7%です。利益は細っているのに、現金は積み上がっている。MS-Japanが「稼いだ以上に配って貯金を減らしている」のと、ちょうど逆でした。

大赤字の年に配当を維持できたのも、この貯金の厚さが理由です。あの赤字は引当金と減損、つまり帳簿の上の損で、現金が27.9億円出て行ったわけではありませんでした。

数字の上では安く見える。それでも買い増しはしない

株価721円は、PBRでいうと0.51倍です。

秘書のツミキ PBR0.51倍は、会社が持つ純資産の半分の値段で株が買える状態です。ただ、そこまで安く放置されるのには、たいてい理由があります。

利回り5%、資産の半値。配当目的なら買い増しを考えたくなる数字です。実際、今年6月には海外の大手運用会社が5%を超えて買い進めたという報告も出ています。安いと見ている投資家は私だけではないようです。

それでも、私は足しません。下がるには理由があり、その理由——中国のマンション不況——がまだ終わっていないからです。直近の3か月が赤字だったことが、その何よりの証拠です。業績の底が見えないうちは、いくら安く見えても手を出さないことにしています。

それで、どう判断したか

売りません。ただし「持っている銘柄」から「見ている銘柄」に変えます。

売らない理由

  1. 減配していない(36円を5期維持し、会社は来期も36円を予想している)
  2. 配当の原資が壊れていない(営業CF17.5億円に対して配当は約8億円。現金は増えている)
  3. 財務が壊れていない(自己資本比率71.7%・借金ほぼゼロ)

私が売ると決めているのは、減配・業績の悪化・タコ足配当・不正の4つが出たときです。株価が19.7%下がったことは、この4つに入っていません。配当を目的に買った株なので、株価の下落そのものは売る理由にしません。

それでも「見ている銘柄」に変える理由

正直に書くと、4つのうち「業績の悪化」には片足が入っています。5期連続の減収、そして直近は赤字です。

それでも売却まで行かないのは、配当を出す力(現金と営業キャッシュフロー)がまだ壊れていないからです。逆にいえば、ここが壊れ始めたら話は変わります。だから観察を強めます。

今期の予想配当性向は91%。利益9億円の予想に対して、配当で約8億円を出す計画です。予想より利益が下に振れれば、100%を超えます。貯金が厚いので1〜2年は持ちこたえられますが、この状態が何年も続けば、いつか配当の方が折れます。

これから何を見るか

  1. 11月ごろに出る中間決算(4〜9月)で、赤字が続くか止まるか
  2. 配当36円の会社予想が、期中に引き下げられないか
  3. 中国関連で追加の損失(貸倒引当金・減損)が出ないか

MS-Japanは「稼ぎ以上に配って貯金が減っていく」形でした。この銘柄は「貯金は厚いが、稼ぎ自体が細っていく」形です。理由は違いますが、行き着く先の心配はどちらも同じ、配当を出し続けられるかです。

この銘柄から受け取る配当は年3,888円。64銘柄全体の1.7%です。仮にこの1本が折れても、全体は揺れません。含み損がいちばん大きい銘柄を前にして慌てずにいられるのは、この分散のおかげだと思っています。

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